もう、衝突すると長いんだから。

「うわぁぁぁ！？」

「あ～～～～！？」

この声は！？

悲鳴が聞こえた部屋を覗くと、スタンピーとハインラッドが荷物の下敷きになっていた。

「なになになに！？」

「痛た……あ、誰かと思ったら名無しかぁ。あはは、備品整理してたら崩れてきちゃって」

「ねー。びっくりしたねぇ～」

「とりあえずケガは無いみたい？」

「うん、平気なんだなぁ～」

いつもの緩やかな口調に胸を撫で下ろす。本当に大丈夫そうだ。

「声を掛けてくれれば良かったのに」

「ううん、なんでもかんでも名無しに任せっぱなし、ってのも悪いからさ」

「それにビッグコンボイにも甘えるなって言われてるしねぇ～」

私自身は頼られたら嬉しいけど……確かにみんなの為にもやり過ぎるのは良くないか。
さすが新兵の先生。やっぱり教育に向いてる。本人はすぐ否定するけど。

「それより早くコレ何とかしてー」

「あ」

二人の上に被さった荷物を退かし、ついでにお手伝いすることにした。

「ところで、何か用があって来たんじゃないの？」

「あ、うん。サイバトロンのみんなっていくつくらいなのか聞いてみたくて」

「オイラは秘密～」

「えー、隠すほどいってないでしょ」

クスクス笑うハインラッドに不思議だと腕を組むスタンピー。

「まぁ、私も無理にとは言わないから」

「ミステリアスな一面があるとね、オトコとしての魅力が高まるんだよぉ～」

「そうなの？」

「さぁ」

しばらくして片付け終わった頃、白い手にちょいちょいと手招きされた。こっそり教えてくれるらしい。

「ロングラックの年齢はね、人間でいうと多分……ひそひそ」

「ふんふん……あ、ぽいね」

「あとはブレイクが」

「あ、あー！そうか、そうだよね。うん、言われてみればそんな感じ」

なんとなくそうかな、とは思ってはいたけど。

「ねぇねぇ、オイラも仲間に入れてぇ～」

「マッハキックはね……らしいよ」

「あ、意外と……へぇ」

でも本当にそんな気がする。

「あの～、オイラの年齢も気になりますよねぇ。今ならぁ、ヒントくらいあげちゃおっかなぁ～」

「コラーダは……」

「うんうん」

「…………。」

「でもって、ビッグコンボイはおそらくだけど……」

「あぁ、想像よりは……うん」

「じゃあ三択問題ねぇ～」

「ハインラッドは大丈夫だってば」

「だってだってぇ～！二人だけでコソコソしててズルいんだなぁ。除け者にされてるみたいだよぉ～」

「あーぁ、もう、しょうがないなぁ」

「ごめんごめん、意地悪したつもりじゃなかったんだよ」

私とスタンピーで落ち込んだ背中を撫でる。

「タヌキは寂しいと死んじゃうんだなぁ～……」

「それボクだよ！」