また、この惑星でも争うしかないのか。

いや、悩んでいる暇はない。こうしている間にも住処を、大切な仲間を失い悲しむ動物達がいる。しかし、もし話し合いが可能ならばあるいは………。

「ふぅ……」

崖の上から大地を見下ろす。何なのだろう、この違和感は。この世界はどこか不自然だ。私がいる場所はここではない。どこか別の場所があるような、そんな気がしていた。私だけなのだろうかとアパッチに相談してみたが


「よくある話ですな。ジブンも若い頃に考えたことがありますぞ」

「やはりそうか。つまらん話を聞かせてしまったかな」

「なにをおっしゃる！ライオコンボイが真っ先にジブンを頼って下さるなんて身に余る光栄でありますっ」

敬礼するに苦笑が漏れてしまう。

「まったく、キミは時々大袈裟過ぎるぞ」

「えぇ、今のは正直やり過ぎましたな…ハハハ」

悩む私を元気づけようとしたのだろうな。

そうだ。なにもおかしい事ではない。しかし、何かが決定的に違う。この違和感の正体は一体…

「ライオコンボイさん！やっと見つけた！」

上空から声が聞こえた。見上げると、小さな女の子が徐々にこちらに近付いてきた。天使のようにふわり、と舞い降りる。私は両手を広げその子を受け止めた。

「キミは……」

「……っ」

私の腕の中の女の子はその唇を私の顔に押し当ててきた。………そうだ、私は名無しを庇い、倒れてそのまま意識を失っていた。記憶が鮮明に甦ってくる。

「……ライオコンボイ」

「ン？」

「ライオコンボイ、だ！そうだよ！私、全部思い出した！」

「あぁ……名無しにそう呼ばれるのは久々だな」

「あ、えっとぉ、ごめんなさい。いきなり慣れ慣れしいですよね」

「いや、そっちの方がいい。以前のように、あの頃みたいに接してほしい」

「～ッ！ライオコンボイ、ライオコンボイ！」







「皆すごく心配してたよ」

「あぁ、すぐに戻らなくては。しかしどうやって…」

「大丈夫。この手を握って。私と一緒に戻りたいって願えば帰れるから」

「そうか、よろしく頼む。名無しは私のヒーローだな」

「私にとってはアナタが一番のヒーローだけどね」