「初めまして、名無しさんと交際させて頂いておりますヘルスクリームと申します。今日はお時間をいただき感謝致しますわ」

と、挨拶を終え手土産を渡すヘルスクリームさん。私の両親は信じられない物を見るような目で固まり、ぎこちなく紙袋に入ったお酒を受け取った。

まぁ、何十年ぶりかに娘が帰ってきたかと思いきや、当時の姿で歳も取らず、更に紹介したい相手がいるとロボットを連れてきたのだから、それはそうもなるか。

「あー、と。色々言いたいとは思うよ。でも本気なの。私、大切なヘルスクリームさんの支えになりたい。だからセイバートロン星まで復興のお手伝いに行ってもいい……かな」

「名無しさんは何があってもワタクシが必ずお守り致しますわ。どうか、どうかお願いします。お嬢さんとの関係を認めて下さいませ」

サイズの問題で家に入れず庭で正座するヘルスクリームさんが頭を下げる。ご近所さん達が何事かと塀の外に集まっていた。ザワザワと騒がしくなる。

時折「ロボだ！」「かっけー！」等と子供たちの声も響いてきた。ヘルスクリームさんは嫌な顔一つせずにこやかに手を振りながらそちらにも挨拶をしている。見事なまでの猫かぶりだ。

「マックスビー、ちょっとチビちゃん達と遊んでらっしゃいな」

「マックスラジャー！」

無言で側に控えていたマックスビーさんが近くの山まで子供達を誘導する。おかげで先程よりは多少は静かになった。

「はい？どこに惹かれたかですか。もちろん、不器用ながらも懸命に尽くす姿ですわ。名無しさんは誰からも愛されて、いつも楽しそうに過ごしております」

「えぇ、確かに。少々無計画なところがあるといいますか、突拍子もないことを始めたりはしますがそこも愛嬌といいますか……」

「お仕事もとても熱心で。ワタクシ達もとても励まされておりますの」

「本当ですわ。こちらではかなりのモテっぷりですの。信じられないだなんてそんな……」