月、酒、記憶
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「思い出した!あぁ、あの時の君が目の前に…!」
「えぇ?あ、の?」
「まったく気が付かなかった。しばらく見ない間にキレイに…あ、いや…」
「っ!?」
ライオコンボイさんの片手が私の頬に添えられる。予想外の発言と行動に動揺を隠せなかった。
「すまない。つい興奮してしまった」
手を引っ込められても、まだ心臓がドクドクとうるさく鳴っている。
「い、いえいえ!………もしかして、私のこと何か知ってます?」
「あぁ、名無しは私を、みんなのことを見覚えがある、と言っていたな」
「は、はい」
「……知りたいかな?」
思いがけない言葉に息を飲んだ。
「なぜそう感じるのか。気にならないか」
「え、と…」
改めて聞かれると戸惑う。本音を言えば、今すぐにでも教えてもらいたいくらいだ。だからといって、そんな簡単に答えをもらっていいものなのか。
「知りたいです。知りたいですけど…………やめておきます。この件は、自分で思い出さなきゃ意味がない気がして」
「そうか」
「ヘン、でしょうか?」
私の問いに彼は首を振った。
「それを聞いて安心した」
「?」
「なに、君には自身の力で記憶を取り戻してもらいたいと、そう…願ってしまってな」
言いながら肩をすくめる。
「………自分から聞いておいて、おかしな奴だな。私は」
今度はこちらが首を横に振る番だ。私は私の意思で決めた。
「ありがとう。でも無理はしないでくれ」
「了解!」
「いい返事だ」
笑い合う二人の間を冷たい風が通り抜けた。
「冷えない内にそろそろ中へ入ろう」
差し伸べられた大きな手を取り、中へと戻る。
最後に夜空を見上げると、満月が優しく光り、私達を見守ってくれているようだった。
終
「えぇ?あ、の?」
「まったく気が付かなかった。しばらく見ない間にキレイに…あ、いや…」
「っ!?」
ライオコンボイさんの片手が私の頬に添えられる。予想外の発言と行動に動揺を隠せなかった。
「すまない。つい興奮してしまった」
手を引っ込められても、まだ心臓がドクドクとうるさく鳴っている。
「い、いえいえ!………もしかして、私のこと何か知ってます?」
「あぁ、名無しは私を、みんなのことを見覚えがある、と言っていたな」
「は、はい」
「……知りたいかな?」
思いがけない言葉に息を飲んだ。
「なぜそう感じるのか。気にならないか」
「え、と…」
改めて聞かれると戸惑う。本音を言えば、今すぐにでも教えてもらいたいくらいだ。だからといって、そんな簡単に答えをもらっていいものなのか。
「知りたいです。知りたいですけど…………やめておきます。この件は、自分で思い出さなきゃ意味がない気がして」
「そうか」
「ヘン、でしょうか?」
私の問いに彼は首を振った。
「それを聞いて安心した」
「?」
「なに、君には自身の力で記憶を取り戻してもらいたいと、そう…願ってしまってな」
言いながら肩をすくめる。
「………自分から聞いておいて、おかしな奴だな。私は」
今度はこちらが首を横に振る番だ。私は私の意思で決めた。
「ありがとう。でも無理はしないでくれ」
「了解!」
「いい返事だ」
笑い合う二人の間を冷たい風が通り抜けた。
「冷えない内にそろそろ中へ入ろう」
差し伸べられた大きな手を取り、中へと戻る。
最後に夜空を見上げると、満月が優しく光り、私達を見守ってくれているようだった。
終