「ではワタシ達はこれで」

「失礼します」

「待って！オレを助けてくれっ」

「ヤダァ面倒臭い」

「まだなにも言ってないだろ……」

「分かるからこそ先手を打ったんだ」

「スクーバさんからちょっと聞いたけど、そんなになの？」

「んなことないって。そうだ、名無し確認してくれよ」

「え」

「入ってみたらわかるから。な！」

ちょっと緊張するも、意を決して中へ入った。

「……うわ」

「そら見ろ」

「違うって！アレだな。うわ、思ったよりキレイ、さすがキッドって意味だ」

「そんなニュアンスでは無かったな」

「じゃあ、変な虫でも出たんだろ」

「だから、そうなる前に掃除をしろと言っとるんだ！」

「いやいやっ、まだ確定じゃないからっ」

「あ、出てきた」

「…………。」

「どうだった？」

「一人でやるとなるとちょっと厳しい………かも」

「あー、ハハ、やっぱりダメ？」

「「ハァ～ァ…」」

「名無しだけでもいてくれたら多分やる気出るんだよなぁ。頼む！見てるだけで良い！なんもしないで良いから！」

「なんで私？」

両手を合わせて必死にお願いするキッド。
想像してみた。一人で掃除するキッドにそれをただただ見守るだけの私。…うん、無理。

「その状況じゃもう手伝うしかないよ…」

「仕方ない。どうせ玩具でも散らかっているんだろう。ダンボールを持ってくる」

「俺もやるしかないな……まったく人質を取られた気分だ」

ぽそ、と呟くスクーバさんの言葉を聞き、アパッチさんが豪快に笑う。

「なるほどな。さしずめワシらは姫を救う騎士といったところか」

「オレは悪者かぁっ！？」

また冗談が始まった。

「ま、まぁまぁ、最後まで協力するから」

「名無し～～……。さすがオレのお姫サマ！優しい！慈悲深い！感謝！最っ高！」

「はいはい、お二人にも言ってあげて」