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ー彼方sideー

『…両面宿儺の器、ね……』




私が恵に蝶を飛ばしたあの日、そっちに向かった五条先生から「両面宿儺の器」となる男の子が現れたと伝えられた




その器である彼は勿論、上から危険だと言われ、すぐ殺すように喚きたてられていたが五条先生の説得(脅迫)でなんとか執行猶予付きの死刑になったみたい……


『面白い子が入ってくるのね…ふふっ、楽しみ。』

そう呟きながら足にすり寄ってきた白の野良猫を撫でた

猫は嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らしてベンチに座る私の膝の上に飛び乗った

『ふふっ…貴方、まるで悟さんみたいね。』


現在、私がいる場所は東京都調布市にある"神代植物公園"のあじさい園


……

どうしてって?

数日間の任務が続いていた私に少しの休暇が与えられた

でも、今日は恵以外の新しい1年生2人と顔合わせがある

本当は渋谷に集合だったんだけど、"電車が遅れてるから先に迎えに行くね。迎えは僕と恵、それから宿儺の器の子と来るから待ってて"って五条先生に電話で指示され、のんびり待ってるの

制服を勝手にカスタマイズされ、足の露出が高くなった制服をきちんと着て、今居る場所だけ伝えて猫と戯れたり、自分の呪力で出した蝶と戯れたりと過ごして待っていた




「にゃ!」



私がぼんやりと自分で出した蝶を眺めていると
いつの間にか猫を撫でる手が止まってしまっていて、"また撫でて!"と催促するように猫がひと鳴きした


『ふふっ、今日はほんとうにいい天気ね…』



猫を撫でる手を再開して空を見上げた




彼方の言う通り、太陽の日差しが暖かい晴天だった

膝の上の白猫もこの陽気が心地いいのか、くあーっと大きく欠伸をして、くるりと丸まって目を閉じた
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