マカロンにまつわるエトセトラ/東峰旭
名前変換はココで!!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
薄い水色のドレスシャツに、ラインの入った紺碧色のカーディガン、紺色のダウンジャケットにブルージーンズという東峰の出で立ちは確かに店頭のマネキンが着てそうな組み合わせにも思えた。
「身長高いし、ガタイもいいから様になってる。うらやましいなぁ」
「そ、そうかな?そんなに褒められるとちょっと恥ずかしいかな……黒崎の私服も、か、可愛いと思う」
「……あ、ありがと」
自分が褒めるのは微塵も恥ずかしさを感じないのに、自分が褒められる側になると、とたんに恥ずかしさがこみあげてくるのは何故なのだろうかと黒崎は思った。
2人してもじもじしながら照れ笑いをしている姿を澤村や菅原が見たら、確実に鋭いツッコミが入っていたところだろう。
「あ、い、行こっか!明日ホワイトデーだし、お店混んでるかも」
黒崎の言葉に東峰は頷いて、くるりと踵を返して店へと向かい出した黒崎の後を追った。
わき目もふらず急ぎ足で店へ向う黒崎の髪の毛がふわふわと上下に揺れる。
ゆるく毛先が巻かれているのに気付いて、黒崎も女の子なんだなぁと東峰は妙に感心してしまう。
大股で歩いて黒崎の隣に並んだ時に、ふわりと揺れた黒崎の髪から漂ってきた甘い香りが東峰の鼻腔をくすぐった。
今まで部活漬けの毎日で、男だらけで過ごすことの多かった東峰にとっては、こんな些細な出来事でも心を揺らすのに十分な出来事だった。
学校にいる時とはまた違う雰囲気の黒崎の姿に、東峰の心臓は刻むリズムを徐々に早くしていった。
「わー…もう結構並んじゃってるね」
黒崎の足が止まって、東峰は彼女の視線の先を追う。
パステルカラーの可愛らしい外観の店の前には入店の順番を待つ人の姿がずらりと並んでいた。
黒崎はちらりと横の東峰を見やった。
この店をお勧めした手前、この行列に並ぶのはやぶさかではないが、当の東峰は苦ではないだろうか。
本人に確かめるべく、黒崎は東峰に問いかけた。
「東峰、並ぶの嫌じゃない?他のお店探す?」
「俺は構わないよ。黒崎こそ、しんどくない?付き合わせちゃってごめんな」
「待つのには慣れてるから平気だよ。じゃあ、並ぼうか」
「うん」