マカロンにまつわるエトセトラ/東峰旭
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「はぁ、やっと買えたよ~。待たせちゃってごめんな」
「ううん。レジもすごい混んでたもんね。お疲れ様」
東峰の手に下げられた可愛らしいピンク色の紙袋。
その中にきちんと収まっている小袋の一つを取り出して、東峰は黒崎にそっと差し出した。
「えっ?」
「ホワイトデーは明日だけど」
目の前に差し出されたピンクの小袋と東峰の顔を交互に見やって、黒崎は困惑の表情を浮かべた。
「え、でも、私チョコあげてない」
本当は、今年こそ渡そうと準備はしていた。
気合をいれて何個も作って、形の綺麗なものを選んで綺麗にラッピングもした。
けれど渡すタイミングを掴めないまま、バレンタインを終えてしまったのだ。
「うん、もらってない。もらってない、けど」
東峰の顔が、試合の時のように真剣な顔に変わった。
一瞬にして変わった空気感に、黒崎はどきりとする。
深呼吸をして東峰が言葉を紡ぐ。
「え、と。バレンタインって、女の子が告白する日だろ?だ、だからホワイトデーに男が告白してもいいかなって……いや、いつ告白したっていいんだろうけど…ってあれ、ちょっと待って、ごめん、そうじゃなくて……」
凛々しい顔が一気にへたれた東峰は頭を抱えて唸りだした。
東峰の苦悩をよそに、黒崎の頭は今起こっていることに追いつかないでいた。
告白?
東峰が?
誰に?
私に?
いったい何の冗談?
期待をして裏切られた時が怖いからか、黒崎の思考はいつにもなくネガティブな方へと向かっていた。
けれどそれを打ち消すように、東峰が顔の前で勢いよく手を合わせて懇願する。
「ごめん!もう一回ちゃんと言わせて!」
目をしばたたかせて平身低頭の東峰を見つめる。
ちらりと顔を上げてこちらを窺う東峰に、黒崎はこくりと頷いた。
「黒崎、俺の彼女になってください。卒業しても、俺の隣にいて欲しい……いてくれると嬉しい……いてくれると、いいんだけどなぁ…」
初めの勢いはどこへいったのか、だんだんと気弱になる東峰の告白に、黒崎は半分呆れつつもそれも彼らしいと受け入れた。
黒崎が大きく頷くと、東峰の顔が一気に明るくなる。
「えっ、えっ、いいの?!ホントに?!ホント?!」