星を見る少年
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見るともなしにスマホを眺めていると、ふいに肩を叩かれた。
はじめ君だと疑いもせずに笑顔で振り返る。
するとそこには見知らぬ男が2人立っていた。
「ねぇ、良かったらこの後遊ばない?」
ナンパだ。
話には聞いたことがあったけれど、実際声をかけられたのは初めてだった。
どう断るのが正解なのかよく分からないまま、曖昧な笑みを浮かべてしまう。
「あ、いや、知り合いと来てるので。ごめんなさい」
1人でいたから声をかけてきたんだろう。
連れ合いの人がいると分かれば退散してくれるだろう。
そう思ったのに、甘かった。
「そうなんだ。じゃあその知り合いの子も一緒にどう?」
何が『一緒にどう?』なんだ。
ごめんなさい、って言ったじゃない。
そうか、こういう手合いにはハッキリ言わないと駄目なのか。
「いえ、いいです。行きません」
「寂しいこと言わないでよ。もちろん奢るしさ。お茶するだけでいいから」
しつこく食い下がる男に、どうしようか困っていた時、男の背後から低い声が聞こえた。
「おい。俺のツレになんか用か」
男が振り返ると、はじめ君の姿が現れた。
いつにもまして不機嫌そうな顔で、じっと男を見ている。
「ちっ、なんだよ男連れかよ。なら早く言えよ」
不快そうに眉を上げて私を一瞥し、男達は離れて行った。
その後ろ姿にはじめ君が舌打ちをして、私に向き直る。
「……ああ言う時は『彼氏と来てる』って言やぁいいんすよ」
「でも、そんな嘘ついたらはじめ君に悪い気がして……」
はじめ君、高校生だし。
スポーツマンだからきっと学校でもモテるだろうし。
好きな子とか、もしかしたら付き合ってる子とか、いるのかもしれないし。
「……じゃあ、嘘じゃなくて、本当にしませんか」
「……えっ?」
一瞬、言われた意味が分からなくて、思わず聞き返してしまった。
はじめ君はいつになく真剣な目をしている。
顔を、真っ赤にさせて。
「…今日の“流星嵐”、100年に1度あるかないかだって美咲さん言ってましたよね」
「うん…」
「俺、そんな貴重なもの、美咲さんと見れてめちゃくちゃ嬉しかった。100年に1度の流星嵐を一緒に見れたなんて、奇跡みたいに思えた。あんたに出会ったのだって、あの日あんたが流れ星を見てたからだ。星が、俺達を巡り合わせてくれたんじゃねぇかって」