星を見る少年
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「そう毎回思い通りにはなりませんよーだっ」
あっかんべー、と舌を出す及川を見る俺らの目は相当冷たかったと思う。
同じ高3には思えねぇ。
「まぁ現状、病院に会いに行くくらいしか確実に会える方法無いんじゃないか? 黒崎さんについて分かってることって、職場くらいなんだろ?」
「…あぁ。でもばあちゃんがいた病棟の、偉い看護師の人に俺マークされてるみてぇでよ。ばあちゃん退院したの知ってっし、追い返されんだよ」
何しに来たの。病院は遊び場じゃ無いわよ。
冷たい視線を投げかけられて、退散するしか無かった。
こないだばあさんと言い合いになったのがいけなかったのかもしれねぇ。
「お、すでに会いに行ってたんだ。積極的ぃ」
「茶化すなよ、花巻」
ニヤッと笑った花巻を、松川がたしなめた。
ワリ、と短く謝った花巻は「でもよぉ」と言葉を続ける。
「病棟に入れないんじゃ、病院の前で待つしかなくね?」
「看護師さんって正面から入るのか? 普通、裏から入るんじゃねぇの?」
「じゃあその裏口で待つしかねぇじゃん?」
「ちょっと待てよお前ら。それじゃストーカーじゃねぇか」
花巻と松川は2人顔を見合わせ、きょとんとした顔をしていた。
「職場まで押しかけた人が何を今更」
「花巻の言う通りだな」
2人にそう言われて、返す言葉が無かった。
もうすでに立派なストーカーになっていることに気が付いて、自分がそこまで美咲さんにのめり込んでいることに、恥ずかしいやら怖いやら複雑な気持ちになる。
「マジありえねぇ……」
「それだけ、好きってことでしょ。…まぁ美咲ちゃんに嫌がられたらそれまでだけど。初枝ばあちゃんは連絡先とか知らないの? ほら、インハイ予選の時、一緒に試合見に来てたじゃん」
その発言に、俺以外のやつらの目が期待に踊っていた。
だがその期待はするだけむなしいものだと、俺だけはよく分かってる。
「あの時は、たまたま入口で出会ったってばあちゃん言ってた」
「あらら……こりゃあ偶然再会出来るの、祈るしかねぇわ」
「“縁があれば”ってやつだな」
縁があれば。
巡り合わせ。
一期一会の出会いだったら、もう望みはねぇってことか。
神様に祈るとかガラじゃねぇけど。
その時の俺に、他に出来ることは無かった。