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オーナーの件以降、黄金川はコンビニに通う事は続けたものの、黒崎との会話はめっきり減ってしまっていた。
それというのも、あの日以来、黄金川が来る時間帯になるとオーナーが2人の様子に目を光らせるようになってしまったのだ。
先輩達にも釘を刺された黄金川は、もどかしく思いながらも、黒崎が嫌な思いをしないようにと必要以上に黒崎と会話を交わすことは無かった。
一向に前に進みそうにない2人の関係に、黄金川のため息は日に日に深いものになっていった。
授業中も、部活中も、黄金川はため息をついてばかりだ。
「黄金、いい加減そのため息やめろ。鬱陶しい」
「……了解っす…はぁー…」
「言ってるそばからこれだよ」
「おい黄金! トス練始めるぞ!!」
「はぁー…っす」
「大丈夫か、コイツ…」
ため息を吐き続ける黄金川の周囲は淀んだ空気が漂っている。どんよりとしたその空気が呼び寄せたのか、空模様まで怪しくなってきた。
その日は降水確率0%だったにも関わらず、部活が終わる頃には小雨が降り始めていた。
いつもはコンビニに寄って帰るメンバーも、今日は雨が強くなる前に、と早々に帰って行く。
一人残った黄金川だけは、いつものように黒崎のいるコンビニに立ち寄ることにした。
いつものようにぐんぐんバーを手にし、黒崎のレジで会計を済ませて、少しだけ会話を交わして帰る。
特段普段と変わらない一日の終わりになるはずだった。
けれど、今日は天気の神様が味方をしてくれたらしい。
残金30円の為にビニール傘も買えず、コンビニの軒先で雨宿りをしていた黄金川に、黒崎が話しかけてきたのだ。
雨でへたってしまった髪型も、心なしか上向きになってきた気さえ、黄金川はしていた。
「黄金川くん、傘持ってないの?」
「そうなんスよ。今日の天気予報晴れだったし。金も無いから傘も買えないし」
「そっか。じゃあ、良かったらこれ使って」
手渡されたのは、白い持ち手のありふれたビニール傘だった。
けれどいやに神々しく見えたのは、黄金川の心情がそこに表れていたからだろう。
「あざっす! でも、黒崎さんは?」
「私は大丈夫。今日は友達が車で迎えに来てくれるから」
「そうなんスか……お友達って…」