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会計の最中、オーナーは黒崎の背後からじっと黄金川のことを見ていた。
先ほどオーナー自身が言っていたように、オーナーは若い従業員のことを心配して男性客に対して過敏になっているのかもしれない。
けれど、黒崎の体に触れた時のあのにやついた顔は、どうしても下心のある男の顔にしか黄金川には見えなかった。
黒崎に拒否されて何も言えずにはいたものの、黄金川の唇は真一文字に結ばれ、その鋭い視線はオーナーへと向けられていた。
会計が終わると、黒崎はいつもと変わらない笑顔を黄金川に見せる。
先ほどまで俯いてじっと耐えていた彼女はどこかへ消えてしまったように思えた。
「ありがとうございました! またお越しくださいませ」
「…あざっす」
定番のやり取りを終えると、黄金川が何か言いたそうに口を開きかけた。
けれど二口がそれを制して黄金川の背を押してコンビニから強制的に連れ出して行った。
強引に連れ出されたのが気にくわなかったのか、黄金川は珍しく二口に対して反抗的な態度を見せた。
「…二口先輩! なんで止めるんすか!」
「あれ、見ろよ」
憤慨しながらも黄金川は言われるがまま二口の視線の先を追った。
―レジのところで、黒崎とオーナーが何やら話をしている。
会話の内容は分からなかったが、黒崎がぺこぺこと何度もオーナーに頭を下げているところを見ると、どうやら先ほどのことを謝罪しているようだった。
「お前があんまり首つっこむと、あの人余計にオーナーに目ェつけられる。さっきの様子だと、本人も騒ぎにしたくないみたいだったし。…酷だと思うけど、放っておいた方がいい」
「でも! あのオーナー明らかにおかしいっスよ! 黒崎さんを見る目、やらしすぎるっす!!」
「それは、俺らもそう思ったけどよ。四六時中あの人守ってやれるわけじゃねぇし。本当に耐えられねぇなら、バイト辞めるだろ」
「…けど…俺は嫌っす!」
「お前の気持ちは分かる。分かるけどな、黄金。お前はただの客だ。黒崎さんにしてみりゃ、単に毎日ぐんぐんバー買いに来る高校生だ」
二口の言葉に、黄金川は頭をガンと殴られたようだった。
『ただの客』
言われてみればその通りで。