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黄金川はその先の言葉を聞くのが怖くなった。
黒崎が次に口にする言葉は、きっと黄金川に対する決別の言葉だ。
オーナーの気持ちを利用していたように、彼女はどこかで黄金川の気持ちに気が付いていたに違いない。
隠そうとしても顔を出してしまっていた彼女への想い。
今まで本人に気づかれていないと思う方が無理がある。
黄金川はそんなことを思いながら、じっと黒崎を見つめた。
「…美咲さん、俺、あなたのことがずっと好きです」
黒崎の言葉を待たずに、黄金川は想いを告げる。
その想いを耳にした黒崎はなんとも複雑な表情を浮かべていた。
「…でも、私、貫至くんみたいな純粋な目に耐えられるような人間じゃない。さっき言ったみたいに、ずるい人間なんだよ。君の気持ちも、気が付いてた。その上であんな目に遭わせてしまうような、酷い人間なんだよ」
「俺だって。俺だって、美咲さんが思うほど純粋じゃないっす。コンビニに通ったのも、家まで送ったのも、ライブ行ったのも、全部下心があったからで。……それに、俺、美咲さんのことを知れば知るほど好きになってるんです。…ずるいとこも全部含めて、美咲さんのことが好きです」
まっすぐな黄金川の気持ちに、黒崎の目からは涙が溢れ始めていた。
黄金川の目を見れば、彼の言葉にひとつも嘘偽りないことが分かる。
揺るぎない黄金川の視線に、黒崎はぎゅっと唇を噛みしめた。
あまりにまっすぐすぎる黄金川の目に耐えきれず、黒崎は黄金川から目をそらしてしまう。
それでも黄金川は諦めなかった。
あんなに素敵な歌詞をかける黒崎ほど、素敵な言葉は語れないかもしれない。
けれど自分の想いだけは、本物なのだと、彼女に伝えたい。
深く息を吸って、想いと共に黒崎に言葉をぶつける。
「美咲さん、俺と付き合ってください。俺に、あなたを守らせてください」
強い黄金川の想いは、ゆっくりとだが確実に黒崎の心を溶かしていった。
今度こそまっすぐに黄金川の目を見つめて、黒崎は静かに頷いたのだった。
ーfinー
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