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「さっきはすんませんっした! 恥ずかしいところ見せちゃって」
「ううん、素の貫至くんが見られたし」
にしし、っといたずらっぽく笑う黒崎に、どうか朝の失態は忘れてくれと黄金川は懇願した。
「貫至くんのご家族ってとってもあったかいね。見ず知らずの私にとてもよくしてくださって。…昨日、あんなことがあってすごく怖かったけど…貫至くんのおうちにいたらちょっと元気でた。ありがとう」
まだいつもの笑顔より少し元気はなかったものの、笑顔を見せてくれた黒崎に黄金川は安堵した。
昨日の今日だから、黄金川の頭の中にもあのおぞましい光景は焼き付いて離れそうになかった。
それでも2人は今、黒崎のアパートへと向かっていた。
昨晩慌てて荷物をつめたので、忘れ物がいくつかあったらしい。
用心棒として付き添う黄金川に、黒崎は何度も謝罪と感謝の言葉を述べた。
「…貫至くん、色々ありがとうね。貫至くんがいなかったら、私……」
「美咲さん、ちょっと待ってください」
黒崎の話の続きも気になる黄金川だったが、彼女の言葉を遮ってまで静かにさせたのには理由があった。
目前に見えてきた黒崎のアパートの前で、黄金川は不審な人物を見つけたのだ。
帽子を目深にかぶり、マスクをしたその人物は、あたりをうかがいながら黒崎のアパートの階段を上がっていく。
物陰に隠れて様子をうかがっていた黄金川は、怪しい人影を追おうと身をかがめながらアパートに近づこうとした。
すると、背後から服の裾をぎゅっとつかまれた。
「…貫至くん、ダメ、危ないよ」
「でも、今なら現場押さえられるかもしれないっすから」
「警察に連絡して、待った方が…」
「それじゃあ昨日と一緒っす。警察が来るまであいつがここにいるとは限らないし」
不安な顔の黒崎に、黄金川はニッと歯を見せて親指を立てて見せた。
ぱっと見、不審な人物は小柄だったので、黄金川が取り押さえるのも難しくなさそうだった。
「美咲さんは警察に連絡して、隠れていてください」
黄金川は、犯人を捕まえる千載一遇のチャンスを逃がすまいと意気込み、黒崎の制止を振り切って、アパートへと向かった。
錆び付いた階段が悲鳴を上げないように、黄金川は一歩一歩慎重に階段を上る。