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「そう、美咲ちゃんって言うの。あら、じゃああなたがあの傘貸してくれた子?」
「ビニール傘、ですか?」
「そうそう。この間ね、玄関のものまとめて処分しようと思ってあの傘も一緒に整理してたら、貫至えらく怒っちゃって。『これは美咲さんから借りた大事なものだから捨てるな』ってそれはもうすごい剣幕で。あなたみたいな可愛い子から借りたものだったら、貫至があそこまで怒るのも無理ないわね」
ふふふ、と笑う黄金川の母に、黒崎は曖昧に笑って返す。
何か思うところがあったのか、彼女の頬は次第に赤く色づいていった。
ガチャリと扉が開く音がして、部屋を片付けていた黄金川がリビングに顔を出す。
「美咲さん、部屋片付けたんで2階上がってください」
「あっ、うん。ありがとう」
「美咲ちゃん、お風呂もわいてるからゆっくり浸かってね。明日は日曜だし、ゆっくり休んで」
「ありがとうございます。急にお邪魔させてもらって…泊めていただいて、感謝しています」
「気にしなくていいのよ。なんなら落ち着くまで家にいても構わないからね」
さっき会ったばかりだというのに、黄金川の母はとても優しかった。
母なりに、黒崎の立ち居振る舞いを見て、彼女の人となりを観察して口にした言葉だったが、黒崎からすれば見ず知らずの人間にここまで親切にしてくれることに驚いていた。
黄金川の今までの自分に対する優しい言動も、この母の教育があってのことなのだと黒崎が思うのも不思議ではなかった。
******
入浴を済ませた黒崎は、リビングにいた黄金川の両親に挨拶をし、静かに2階へと上がった。
先ほど黄金川に案内された部屋の前まで来ると、黒崎は動きを止めた。
ちらりと隣の部屋の扉を見やる。
先に自室へ戻ってしまった黄金川に、寝る前に一言お礼が言いたい。
けれどもう寝てしまったかもしれない。
しばらく悩んだ後、黒崎はゆっくりと黄金川の部屋のドアをノックした。
「貫至くん…もう寝ちゃった?」
遠慮がちに声をかけると、黄金川の部屋のドアが開いた。
「美咲さん、どうかしました?」
Tシャツと短パン姿の黄金川が心配そうな顔で黒崎を見つめると、黒崎の瞳がゆらりと揺れる。