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「あ、そうだ。この間のタオル。貸してくれてありがとう」
黒崎から手渡されたショップの袋を覗くと、先日雨の日に貸した真っ白なタオルと、ぐんぐんバーが入っていた。
「ぐんぐんバー…」
「お礼に何か渡そうと思ったんだけど、貫至くんの好み分からなかったから。ぐんぐんバーなら間違いないかなって」
「アザッス! ありがたく頂きます!」
元気よく答えたものの、このぐんぐんバーは食べられない、ずっと大事に取っておこうと黄金川は思った。
すっかり黒崎の中ではぐんぐんバーは黄金川のイメージになっているようだ。
二口の提案から始めた『ぐんぐんバー作戦』の効果は本当に絶大だ、と黄金川は一人思う。
あの提案が無ければ、今こうして2人で食事なんて出来ていなかっただろう。
二口に感謝しながらタオルを鞄にしまう。
しまい終えてから、黄金川は何か思い出したようにハッと声を上げた。
「どうしたの?」
「あ、いや…俺も美咲さんに傘返そうと思ってたのに…学校に置いてきちゃって…」
「傘? ……あ、もしかしてコンビニで貸した傘?」
「そうっす」
黄金川の返事に、黒崎はひどく驚いた顔になった。
そしてすぐににっこりと微笑んで黄金川を見る。
「ただのビニール傘だし、別に返さなくてもいいよ。…でもありがとう。ずっと持っててくれたんだね」
「そりゃあそうですよ! だって美咲さんが貸してくれた傘だし」
「私が貸したからってそんな特別なものじゃないよ。貫至くんって律儀なんだね」
ふふ、と微笑む黒崎が綺麗で、黄金川は恥ずかしさのあまり俯いてしまう。
律儀、なんて言葉をかけられたのは初めてだった。
傘を返そうとしていたのだって、黒崎とどうにか繋がろうという下心があってのことだ。
黒崎が思う『律儀』な男とはほど遠い自分に、黄金川は申し訳ない気持ちさえ抱いていた。
「…ねぇねぇ貫至くん。さっき言ってた片想いの話なんだけどさ」
「えっ、はい」
「良かったら聞かせて? 曲作りの参考にしたいの」
「曲…っすか」
「実体験聞くのが1番曲が浮かびやすくて。1番いいのは自分の実体験を曲に落とし込むことなんだけど、男性の視点も知りたくってさ」
ダメかな? と小首をかしげられ、黄金川は断りたくても断れなくなってしまった。