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「触れまくりも触れまくりッスよ!! 歌詞もめっちゃ気持ち分かるし…!!」
「それは嬉しいなぁ。あの歌詞に共感してくれたってことは、貫至くんも片想い中?」
「ハイ!!」
「そうなんだ。…貫至くんが好きになる子ってどんな子なんだろう…」
どんな子も何も、目の前にいるあなたが俺の片想いの相手です、なんて言えるような男だったら、黄金川は今ここで悶えていないだろう。
何も考えず大声で答えてしまったことを、今更ながら黄金川は後悔していた。
「ね、貫至くんこの後時間ある? 良かったらご飯行かない? 貫至くんの恋バナも聞きたいし」
「えっ、あっ、ハイっす!!」
勢いで返事をしてしまう癖に、今回ばかりは助けられたと黄金川は思った。
恋バナはともかく、憧れの黒崎と一緒に食事が出来るなんて、願ってもないチャンスだ。
このまま幸せな時間が続けばいいと思いながら、黄金川は黒崎と共に食事に向かうことにした。
******
「今日は聞きに来てくれて本当にありがとね」
何度目かしれない感謝の言葉に、黄金川はぶんぶんと首を振った。
聞きに来たとはいっても、聞けたのは最後の一曲だけだった。
そんなに感謝されるほど歌を聴けたわけじゃない。
「いや、でも俺最後のしか聴けてないし…最初から聴けなくてすんません!」
「ううん。直前まで部活だったんでしょ?」
黒崎の目がちらりと黄金川の服を見やる。
部活が終わってそのまま飛び出してきたから黄金川の格好は『伊達工』のロゴが入った運動着のままだ。
「それにあんなに汗だくで走ってきてくれたし。本当に嬉しかったの。ライブ行くねって言ってくれても、社交辞令のまま終わっちゃうこと多いし。ライブ来てくれても、歌そっちのけでホテル誘ってくる人とかそんなんばっかりでさ」
黄金川は内心ドキッとした。
黄金川だって下心がある。黒崎の事が好きだから歌を聴きに来たのだ。
黒崎が思うほど、黄金川の思いは純粋では無い。
けれどホテルに誘うような男達と一緒にされたくはない。
黄金川は下心に気づかれないように、苦い顔をして黒崎の思いに共感してみせた。
「貫至くんはやっぱりいい人だね」
褒められているのに、その言葉はまるで「私に手を出さないでね」とでも念押ししているかのようだった。