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「本当に2メートルいっちゃうかもねぇ。貫至くんバレー部だったよね。他の人達もそんなに大きいの?」
「うちは結構身長高い方だと思いますけど…190越えてんのは俺と青根先輩くらいっすね」
「あおね…あ、もしかして短髪でちょっと目つきの鋭い人?」
「そうっす!」
二人はそんな風に他愛ない話をしながら、夜道を歩いて行った。
コンビニで見かけて想いを寄せていた時には想像すら出来なかった今の状況に、黄金川の口は止まることは無かった。
バレー部のこと、学校のこと、黒崎のこと…。
話題は尽きず、二人は楽しい時間を過ごした。
「送ってくれてありがとう貫至くん。バスの時間大丈夫?」
「大丈夫っす!全然余裕っす!」
実際の所、黄金川の乗る路線の最終時刻は少し前に過ぎていた。
しかし今の黄金川なら全速力で家まで帰れそうなくらい、色んな意味でみなぎっていた。
「あ! そうだ」
「?」
何か思い出したように黒崎は鞄の中をごそごそと探り始めた。
少しして出てきたのは、雨でしっとり濡れたチラシだった。
「あちゃあ、濡れちゃってた…ライブのチラシ、渡そうと思ったのに。うーん…あ、じゃあライブのお知らせ、今日聞いた連絡先に送ってもいい?」
「もちろんッス!」
「気が向いたらでいいから、興味があったら来てね」
にっこりと黒崎に微笑まれて、黄金川は「絶対行くっす!」と赤い顔で返事をした。
手を振る黒崎の姿を何度も振り返りながら、黄金川は家路についた。
家に帰って黄金川は風呂場に直行した。
大きな傘だったとはいえ、黒崎が濡れないように傘を傾けていたため、黄金川は半身ずぶ濡れだった。
冷えた体を温めるように湯船に浸かる。
肩まですっかり浸かってしまっているのに、右手には携帯がしっかりと握られていた。
黒崎からの連絡が待ち遠しくて仕方が無いのだろう。
変わることのない待ち受け画面を見ながら、黄金川は湯船に浸かり続けた。
しばらく携帯とにらめっこを続けていると、賑やかな音楽が風呂場に響き渡った。
「きたっ!!」
黄金川が待ちわびた黒崎からの連絡だった。
嬉しくて何度も何度も読み返す。