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「俺ちょっと確認してきます!」
言うが早いか黄金川はあっという間に元来た道を戻ってコンビニに駆け込んだ。
棚だししている女性店員をつかまえて、黄金川は黒崎の所在を尋ねた。
「黒崎さん? 少し前に辞めちゃったけど」
女性店員は気だるそうに黄金川の質問に答えた。
半分諦めかけてたとはいえ、実際に辞めたとなると黄金川の気落ちは半端なものではなかった。
「なんで辞めちゃったんスか?!」
「さぁ…。オーナーに目かけてもらって色々融通してもらってたのに…理由は私も聞きたいくらいよ」
吐き捨てるように女性店員は言って、もう用が無いなら仕事の邪魔をしないで、と黄金川をひと睨みした。
店員の対応にむかつきながらも、黄金川は一応の礼を言ってその場をあとにした。
「どうだった?」
先に帰っていたと思っていた二口達は、黄金川を待っていてくれたらしい。
二口の呼びかけに顔を上げた黄金川だったが、すぐに地面の方へと逆戻りしてしまった。
その反応だけで答えは出ていたも同然だった。
「…バイト、辞めてました」
「そうか…それは残念だな…」
俯いたままの黄金川に、皆励ましの言葉をかけるものの、どれも彼の心には響いていないようだった。
こういう時は、自然に回復するまで待つしか無い。
そう分かってはいても、あまりの落ち込みように二口はこう声をかけていた。
「いつどこで会ってもいいように、その傘持ち歩いとけよ。縁があればまた会える」
「縁が無かったら…?」
「…その時は、諦めるしかねぇな」
「っ、俺、諦めるとかしたくねぇッス!! 諦めるのは、ちゃんと気持ち伝えて振られた時だけッス!」
急に顔をあげて高らかに宣言した黄金川の顔は、どこか吹っ切れた表情になっていた。
どこでスイッチが切り替わったのか二口達には分からなかったが、息を吹き返した黄金川に皆、激励の声をかけた。
いつ彼女に出会ってもいいように。
いつか彼女に出会えることを信じて。
その日から毎日黄金川は、黒崎から借りた傘を持ち歩くようになった。