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その実、二口が真面目に黄金川の相談にのってやったのは茂庭達の想いとは裏腹なところだった。
黄金川が落ち込んでいると、練習にならないのだ。
高身長という武器はあるものの技術はまだまだヒヨッコ同然の黄金川。
二口にとって、相談にのって調子をあげてやる方が、落ち込んで練習にならない黄金川の相手をするよりよっぽどマシだった。
だからそこに先輩としての優しさだとか、次期部長としての自覚だとかそういうものはてんで含まれていない。
「二口……俺は、お前は本当はそういうヤツだって分かってたよ…」
じん、とした表情で二口の肩を叩く鎌先に、二口の細い眉が歪む。
口元はひきつり、鎌先が何に感動しているのか理解不能だという顔をしていた。
「は。なんすか涙ぐんで…なんか気持ち悪いんすけど」
「その嫌味も照れ隠しなんだよな、分かってる分かってる」
「いや俺別に照れてねぇっすけど」
そんな二年と三年のすれ違いはありながらも、黄金川の恋は周囲の協力を得て少しずつ前進していった。
******
翌日、部活終わりにコンビニに寄ったものの黒崎の姿は無かった。
珍しいこともあるものだと思いながら、黄金川はしばらく店内で彼女を待ってみたものの一向に姿を見せる気配は無い。
風邪でもひいて休んでいるのだろう、と思いその日は帰宅した黄金川だったが、次の日も、またその次の日も、黒崎をコンビニで見かけることは無かった。
1週間もすれば、さすがに黄金川も異変に気が付いていた。
「バイト、辞めちゃったんスかね……」
「どうだろうな。シフトの時間変えたとかかもしれねぇし」
「土日も覗いて見たんスけど、いなくて。朝方とか時間変えても行ってみたんスけど…」
そこまでしても姿を見かけなかったのなら、辞めてしまった可能性が高い。
けれどそう答えることに、二口は躊躇していた。
目に見えて落ち込んでいる黄金川をこれ以上落ち込ませるのは忍びなかった。
「あのコンビニでバイトしてたって事はよ、ここらが生活圏内って事だろ。バイト辞めてたとしても、どこかで会う可能性あんだろ」
「そうッスかね…」
今は、二口の励ましの言葉さえ黄金川には遠く聞こえていた。
目に見える繋がりが断ち切れてしまった今、可能性の話をされても喜べなかった。