まっすぐ!
名前変換はココで!!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
言葉にせずとも、黄金川が嬉しいことは周囲の人間に丸わかりだった。
部活が始まる前から鼻歌交じりで上機嫌な黄金川を見れば、彼の心情は手に取るようによく分かる。
上機嫌の理由も、昨日まで溜息をつき続けていた黄金川を見ていれば予想するのは難しくなかった。
「良かったなぁ、黄金川。一歩前進しそうじゃん。彼氏になれるといいな」
横で話を聞いていた茂庭が声をかけた途端、黄金川はしゅんと落ち込んでしまった。
何かまずいことでも口にしただろうかと茂庭は焦ったが、何故黄金川が急に落ち込んでしまったのか皆目見当がつかなかった。
「えっ、なんでそこで落ち込む?!」
「…黒崎さん、彼氏いるかもしれないんス…」
「マジか……いやでもさっきまでめっちゃ機嫌良さそうだったじゃん」
「ついさっきまで忘れてたんスよ…茂庭さんの言葉で思い出したっス」
「えぇ…それはなんかごめん…」
若干理不尽に思えたものの、先ほどまでの上機嫌な黄金川を見ていたからか、茂庭は心から申し訳ない気持ちになっていた。
元より人の良い茂庭だったが、このところコンビニの例の彼女のことで一喜一憂する姿を見ていただけに、その話題においては黄金川に対していつも以上に優しさを見せていた。
「本人にきちんと確かめたのか?」
「いえ……でもバイト終わりに車で迎えに来るって…」
黄金川が彼氏だと思うのも無理はない。
女友達かあるいはただの男友達の可能性も捨てきれないが、バイト終わりの女の子を車で迎えに来る…となれば彼氏の可能性はそれなりに高くなる。
黒崎は普通より綺麗な顔立ちをしていると二口も思っていたので、彼氏がいる可能性は大いに考えられるのであった。
「まぁ彼氏と決まったワケじゃないんだし。とりあえず傘、キッカケにして頑張ってみろよ」
「…! ハイ!! 俺頑張ります!!」
黄金川を励ます二口に、茂庭はじめ三年は少し感動すら覚えていた。
それまで自分達の手を焼く後輩だった二口が、口を開けば嫌味が飛び出すあの二口が、内容は何であれ後輩の相談にのっている。
その上励ましまでしているのだ。
来年の部を任せられるのか心配していた茂庭達も、この二口の姿を見て、大丈夫そうだと心の中で頷き合っていた。