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「あっ、ごめん! オーナー戻ってきちゃうから、またね!」
言うなり黒崎は足早に店内へ戻ってしまった。
彼女の言う『友達』が男なのか女なのか、もっと言えば彼氏なのかどうか確かめようとしていた黄金川からしてみれば、うまく誤魔化されたような気がしてならなかった。
「やっぱりいんのかな、彼氏……」
接客業とはいえ、いつも明るい笑顔で、黄金川に傘まで貸してくれるような優しい女の子だ。
弾むような会話も、にこやかな笑顔も、黄金川以外の男にだって好かれそうな雰囲気を持っている。
現に、あのコンビニのオーナーだって彼女のことを下心ある目で見ているのだから、彼女はなかなかライバルの多い相手なのかもしれない。
黒崎の友達が来るまで待ってみようか、と一瞬黄金川は思ったものの、黒崎がいつまでバイトか定かでは無かったし、何よりバックヤードから出てきたオーナーの視線が痛かったので、黄金川はしぶしぶ帰ることにした。
自分の気持ちを伝えてハッキリ振られるまでは、黄金川に『諦め』の文字は浮かばなかった。
勢いよく開いた傘が黄金川に風を送る。それがどこかエールみたいに思えて、黄金川は決意新たに雨の中へと一歩踏み出す。
傘の骨が一本だけ折れ曲がっていたが、それでも大柄な黄金川の体をしっかり雨から守ってくれている。
そんな大きな傘に見守られながら、彼は家路へと急いだ。
******
「何それ、チャンスじゃん」
昨日の出来事を鼻息荒く語った黄金川に、二口はサラリと返した。
チャンス、と言われてもピンときていない顔の黄金川に、二口は大きく溜息をつく。
「その傘返す時にお礼に何かあげるとか、次に繋げるよう持っていけってことだよ」
「お礼…えっアクセサリーとかそういうのっスか」
「バカ。んなもん傘貸しただけのただのお客からもらっても重すぎんだろ。お菓子とかそういうんでいいんだよ」
「なるほど……」
「なんかいい感じなんじゃねぇ? わざわざ傘持ってきてくれたんだろ」
珍しく二口がポジティブな評価を下したものだから、黄金川は抱きつかんばかりの勢いで二口に近づき満面の笑みを見せた。
「そうなんス!! 俺スゲー嬉しかったんス!!」