走れサンタ!/二口堅治
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雪はまだまだ降り止みそうにない。今日はこのまま積もりそうな気配に、二人はぶるっと身震いした。
「……なんかよく分からないけど…好いてくれてるのは嬉しいよ。ありがとう。俺もなんだかんだ手焼かされたけど、お前の事好きだよ」
「……茂庭さんから告白されても、あんま嬉しくないっすね」
「なんだよ、お前が先に言ってきたんだろ……。はぁ、やっぱり二口は二口だな」
なんだか随分疲れた様子で、茂庭はホールの箱を抱えて帰って行った。
その後も、伊達工バレー部の面々が現れてはケーキを買っていった。そのおかげでケーキは残すところあとひとつになった。
時間はすでに21時近く。あたりを歩く人の姿もまばらになってきた。もし売れ残ったとしても、ひとつくらいなら自分が買い取ってもかまわないだろう、と二口は思っていた。
バイト代がホールケーキひとつに消えてしまうのは少々もったいないが、先ほどまで鎮座していた20個のホールケーキの代金を考えれば安いものだ。
そんなことを考えて二口はどことなく気が抜けてしまった。先ほどまでのように必死に声を張り上げることなく、たまに通りがかる人にそれとなく声をかけるにとどまった。
ケーキ屋の中にちらと目をやれば、店内も片付けに入っている。目があった店長の顔は、思ったよりもにこやかだ。残りひとつになったケーキを見て、満足そうにうなずいている。
何事か口を開きかけた店長だったが、おもむろに二口の背後を指さし始めた。
二口が振り向く前に、背後から声がかかった。
「ケーキ、ひとつください。……それと、サンタさん、買えますか?」
おかしなことを言う人間がいたものだ。サンタを買うとは。声の主が言わんとしているのは、サンタの恰好をした、二口を買いたい、ということだろう。
いくらクリスマスで世の中浮かれきった人間で溢れているとはいえ、そんなことを平然と言ってのける人間がいるとは、と二口は呆れながら振り返った。
「……美咲……な、んで」
振り返った先にいたのは、二口が今日会いたくてたまらなかった人物。それでも会うことはかなわないと諦めていた人物で、理解のおいつかない頭で二口は目の前の美咲を見つめた。
「黄金川くんから、メール来た」
「あいつ美咲にも送ったのかよ……」
「……なんかよく分からないけど…好いてくれてるのは嬉しいよ。ありがとう。俺もなんだかんだ手焼かされたけど、お前の事好きだよ」
「……茂庭さんから告白されても、あんま嬉しくないっすね」
「なんだよ、お前が先に言ってきたんだろ……。はぁ、やっぱり二口は二口だな」
なんだか随分疲れた様子で、茂庭はホールの箱を抱えて帰って行った。
その後も、伊達工バレー部の面々が現れてはケーキを買っていった。そのおかげでケーキは残すところあとひとつになった。
時間はすでに21時近く。あたりを歩く人の姿もまばらになってきた。もし売れ残ったとしても、ひとつくらいなら自分が買い取ってもかまわないだろう、と二口は思っていた。
バイト代がホールケーキひとつに消えてしまうのは少々もったいないが、先ほどまで鎮座していた20個のホールケーキの代金を考えれば安いものだ。
そんなことを考えて二口はどことなく気が抜けてしまった。先ほどまでのように必死に声を張り上げることなく、たまに通りがかる人にそれとなく声をかけるにとどまった。
ケーキ屋の中にちらと目をやれば、店内も片付けに入っている。目があった店長の顔は、思ったよりもにこやかだ。残りひとつになったケーキを見て、満足そうにうなずいている。
何事か口を開きかけた店長だったが、おもむろに二口の背後を指さし始めた。
二口が振り向く前に、背後から声がかかった。
「ケーキ、ひとつください。……それと、サンタさん、買えますか?」
おかしなことを言う人間がいたものだ。サンタを買うとは。声の主が言わんとしているのは、サンタの恰好をした、二口を買いたい、ということだろう。
いくらクリスマスで世の中浮かれきった人間で溢れているとはいえ、そんなことを平然と言ってのける人間がいるとは、と二口は呆れながら振り返った。
「……美咲……な、んで」
振り返った先にいたのは、二口が今日会いたくてたまらなかった人物。それでも会うことはかなわないと諦めていた人物で、理解のおいつかない頭で二口は目の前の美咲を見つめた。
「黄金川くんから、メール来た」
「あいつ美咲にも送ったのかよ……」