走れサンタ!/二口堅治
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二口が美咲とのクリスマスの約束をご破算にしたのを知っていながら、彼女にメールを送った後輩の無神経さに二口は若干腹が立った。
けれど、そんなことでもなければ今日は彼女に会えなかっただろう。となると黄金川には感謝しなければならない。二口は心の中で「プラマイゼロだな」と結論付けた。
「にろちゃん、ごめん!!」
マフラーにうずもれていた髪の毛が、ひょっこり飛び出すくらいの勢いで、美咲は頭を下げた。その姿勢を保ったまま、美咲は二口に謝罪を続ける。
「くだらない意地張ってごめん!!せっかくのクリスマスの予定ダメにしてごめん!!……素直になれなくて、ごめん」
「俺こそごめん!!」
勢いよく下げた二口の頭から、サンタの赤い帽子が落ちた。うっすらと積もった白い雪の上に、真っ赤な帽子が映えている。白と赤のコントラストに目を落としたまま、二口も謝罪の言葉を続ける。
「くだらない意地張ったの、俺の方。今日一人になってようやく分かった。今更、だけど。むちゃくちゃ遅いけど」
バッと勢いよく顔を上げると、いまにも泣き出しそうな美咲の顔が二口の目に入る。
ぐっと美咲の肩を引き寄せて、二口は自分の気持ちを素直に口に出した。
「俺、すっげー美咲のこと好き! 大好き!!」
「私の方が好きだよ……!!」
ぎゅっと抱き着いてきた美咲のぬくもりは、冷え切った二口の体を温めてくれた。心臓からぽかぽかした温かさが全身にめぐっていく。かじかんだ手の先まで血が通っていくようで、美咲の頭に顎を乗せて、二口はぎゅっと目をつぶってその感覚を味わった。
しばらく抱きしめ合っていた二人だったが、ふいに二口が口を開く。
「……いや、俺の方が好きだね」
「……私の方が好きだよ」
「俺」
「私」
「おーれ!」
「わーたーし!」
「……」
「……」
顔を見合わせて、二人は同時に笑い出した。
そんな二人に、おずおずと声をかけてきた人物がいた。
「ごめん、二口君。お取込み中悪いんだけどね?キミまだバイト中だよ?」
「……す、すいません……」
本日二度目の謝罪。事情を聞いた店長は笑って許してくれたが、二口は恥ずかしさのあまり死にそうになった。
二口も、クリスマスの熱に浮かされていたようだ。
けれど、そんなことでもなければ今日は彼女に会えなかっただろう。となると黄金川には感謝しなければならない。二口は心の中で「プラマイゼロだな」と結論付けた。
「にろちゃん、ごめん!!」
マフラーにうずもれていた髪の毛が、ひょっこり飛び出すくらいの勢いで、美咲は頭を下げた。その姿勢を保ったまま、美咲は二口に謝罪を続ける。
「くだらない意地張ってごめん!!せっかくのクリスマスの予定ダメにしてごめん!!……素直になれなくて、ごめん」
「俺こそごめん!!」
勢いよく下げた二口の頭から、サンタの赤い帽子が落ちた。うっすらと積もった白い雪の上に、真っ赤な帽子が映えている。白と赤のコントラストに目を落としたまま、二口も謝罪の言葉を続ける。
「くだらない意地張ったの、俺の方。今日一人になってようやく分かった。今更、だけど。むちゃくちゃ遅いけど」
バッと勢いよく顔を上げると、いまにも泣き出しそうな美咲の顔が二口の目に入る。
ぐっと美咲の肩を引き寄せて、二口は自分の気持ちを素直に口に出した。
「俺、すっげー美咲のこと好き! 大好き!!」
「私の方が好きだよ……!!」
ぎゅっと抱き着いてきた美咲のぬくもりは、冷え切った二口の体を温めてくれた。心臓からぽかぽかした温かさが全身にめぐっていく。かじかんだ手の先まで血が通っていくようで、美咲の頭に顎を乗せて、二口はぎゅっと目をつぶってその感覚を味わった。
しばらく抱きしめ合っていた二人だったが、ふいに二口が口を開く。
「……いや、俺の方が好きだね」
「……私の方が好きだよ」
「俺」
「私」
「おーれ!」
「わーたーし!」
「……」
「……」
顔を見合わせて、二人は同時に笑い出した。
そんな二人に、おずおずと声をかけてきた人物がいた。
「ごめん、二口君。お取込み中悪いんだけどね?キミまだバイト中だよ?」
「……す、すいません……」
本日二度目の謝罪。事情を聞いた店長は笑って許してくれたが、二口は恥ずかしさのあまり死にそうになった。
二口も、クリスマスの熱に浮かされていたようだ。