スモーキー・ブルース/烏養繋心
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起き上がって、黒崎さんの方に向き直る。
俺が動くと彼女は恥ずかしいのか布団をかぶって隠れてしまった。
「あのなぁ、黒崎さん」
力任せに布団を引っぺがすと、真っ赤な顔の黒崎さんが現れた。
自分で言って煽っておいて、これじゃあダメだろう、なんて意地悪い考えが浮かぶ。
恥ずかしさで顔を覆う彼女の両手を引きはがして、手首をつかんで顔の横に押し付けた。
「アンタ、自分が何言ってるのか、本当に分かってんのか?」
わざとゆっくり顔を近づける。
下した俺の髪の毛が彼女の顔にかかるくらいまで近づくと、じぃっと彼女の目を見つめた。
恐怖か、期待か、そのどちらもなのか。
黒崎さんの瞳はゆらゆらと揺れながら俺をじっと見つめ返している。
「俺の好きにされる覚悟が本当にあんのか?」
ぐっと手首を握る手に力をこめて、首筋に口付けを落とす。
触れて離れただけなのに、黒崎さんは小さく震えている。
怖いのか。
彼女の本心を確かめるように、もう一度細く白い首筋に唇を触れさせた。
今度はそのまま、彼女の首筋をなぞるようにゆっくりと唇を動かす。
すると、今度は大きくビクリと体が波打って、羞恥に耐えかねるのか、顔を覆いたそうに俺の拘束から逃れようと必死に抵抗し始めた。
「おい、逃げるつもりか? ここまでさせておいて」
「ご、めんなさ……」
「謝って済ませると思うか? ……前に言ったろ、悪い男かもしれねぇぞって」
押さえつける力を強めて、彼女の目の奥を覗き込む。
小刻みに震える彼女の目からは、涙の粒が今にも零れ落ちそうだった。
「なぁ、黒崎さん。アンタ俺と結婚したいんだろ。結婚するって言ってる以上は、こうなる覚悟はしてたんだろ?」
「わ、たし……」
ここで悲鳴でもあげられたら分が悪いのは俺の方だ。
下手すれば訴えられる可能性だってある。
それでも止められないのは、彼女に現実を見せて脅したいからなのか、それとも……。
首筋にまた口づけを落とし、そこからはだけて露になっている肩まで、鎖骨を伝ってなぞるように舌を這わせた。
「やっ……」
黒崎さんは体をくねらせて、俺を拒んだ。
ぎゅっとつぶった目からは大きな涙の粒がこぼれ落ちてく。