スモーキー・ブルース/烏養繋心
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言って居間を指さすと、黒崎さんはふるふると首を振った。
「ダメです、私がここで寝ますから。繋心さんは自分の部屋で寝てください」
「つっても布団も何もねぇし、」
「だったら余計に私がここで寝ます。繋心さんが風邪でも引いたら困ります」
「いや俺だってアンタをここで寝かすわけにはいかねぇよ。明日母ちゃんに怒鳴られる」
お互い、一歩も譲らなかった。
押し問答を続けても埒があきそうにない。
酔いは冷めたものの、時間も時間で早く寝たい。
明日は店は休みとはいえ昼はまたバレー部の練習がある。
押し問答するのもいい加減面倒くさくなって、半ばやけくそに言い放った。
「あー、もうだったらよ、一緒に寝るか?!」
俺の言葉に時が止まったように、しん、と居間は静かになった。
黒崎さんは固まったまま、顔だけ真っ赤にさせている。
「変な想像すんなよ? アンタがベッドで、俺はその下で寝るってだけだからな?」
言いながら、何故か自分の顔が赤くなるのが分かった。
変に彼女が反応するからだ。
そんなことこれっぽっちも思っちゃいなかったのに、黒崎さんが変な反応を見せるから、俺もそっちに意識がいってしまっただけだ。
「は…はい! そうします!」
何故か急に元気に返事をした彼女に嫌な予感を覚えなくもなかったが、これ以上時間を割く気はなかったので、行くぞ、とだけ言って俺の部屋へと向かった。
「はい、じゃあおやすみ」
「…おやすみなさい」
早々に電気を消して、床に横になる。
ベッドの上の黒崎さんは、何度か寝がえりをうっているのか、しばらくごそごそと布団の擦れる音が聞こえた。
「あの……繋心さん」
「……なんだ」
「その……しないんですか……?」
目はつむったまま、彼女の声を聞いていた俺は、思わず目を見開いた。
彼女に背を向けて寝ているから、彼女に俺の顔は見えていないが、動揺は伝わっているかもしれない。
なんつーこと言い出すんだ、この子は。
いっちょ前に、俺を煽ってるのか?
「…………何を」
わざと、そう聞くと。
ベッドの中の黒崎さんは恥ずかしそうにごにょごにょと何事か口にした。
「……聞こえねーよ」