スモーキー・ブルース/烏養繋心
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「もしもし? 黒崎さんか?」
『はい。そうです。繋心さん何かありましたか?お義母さん今手が離せなくて』
「あ、そ。いや、別にアンタでいいんだけどよ」
気を遣って母ちゃんに変わってくれようとする黒崎さんを引き留めて、用件を告げる。
「今日な、飲みに行くことになってよ」
『そうなんですね』
「ああ。だから夕飯、俺の分いらねぇから」
『分かりました』
「それと遅くなると思うから、悪いけど今日は送っていけない。気を付けて帰れよ」
『はい、ありがとうございます』
「ん。じゃあな」
プッ、と電話を切ると、変な視線を感じてそっちに顔を向けた。
体育館の扉の影から、ニヤニヤした顔でこっちを見ているのは、町内会チームの奴らだ。
「あら~繋心ちゃん? 今のはもしかして?」
「町で噂の?」
「愛しの彼女??」
「なんでお前らこんな時ばっかり調子合せんだよ! 試合で調子合せろよ!」
「や~ん、怒った顔も素敵~」
悪ノリした町内会チームのやつらをしばらく追っかけていたが、体育館の鍵片手に困った顔で笑っている武田先生に見つかって、俺達はその場を退散することにした。
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「で! 噂の真相はどうなんだ、繋心!!」
通いなれた居酒屋「おすわり」の座敷に腰を落ち着けるやいなや、嶋田が身を乗り出してきた。
「なんだよ噂って」
「焦らすなよ! さっきの電話の相手だよ、噂の彼女。結婚するんだろ?」
「しねーよ! つーか付き合ってもねーよ」
「は? でも店の手伝いとかしてんだろ?」
「それは、まぁ」
「ナニ? それはどういう事デスカネ?? 俺らに分かるように説明してもらえませんか? 繋心くん??」
真顔で迫る滝ノ上の妙な迫力に押されて、俺は今までの経緯を軽く説明した。
話を聞き終えた嶋田達は納得したようなそうでないような、なんとも言えない顔をしていた。
「あー、なんだ、押しかけ女房ってやつ?」
「お前はめんどくさそうな顔してっけど、話聞く限りいい子じゃん、黒崎さん」
俺の話のどこをどう解釈したら「いい子」という評価が出てくるのか小一時間問い詰めたかったが、ため息だけついて首を振った。