離れてもすきなひと/黄金川貫至
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ああ、独りよがりだなんて思ってごめん。
ぎゅっとしがみついてくる美咲さんの背にそっと腕を回して、優しく抱きしめた。
「…チョコレートも何も、私準備してない」
言ってくれたら用意したのに、と美咲さんが悔しそうな顔で俺を見上げる。
チョコなんてなくても俺は構わないと答えると、だけどせっかくのバレンタインなのに、とまた美咲さんは悔しそうな顔を見せた。
「俺は美咲さんがいれば、それで十分っスから」
思っていることは、口にしなければ伝わらない。
だから最大限に気持ちをこめて、美咲さんにそう囁いた。
次の瞬間には美咲さんが耳まで真っ赤になったのを見て、俺は嬉しくてたまらなかった。
「あ、でもひとつだけ欲しいものがあるっス」
「? なに?」
今からでも間に合う? なんて小首をかしげる美咲さんに、十分間に合いますと俺は笑って答える。
「え、なんだろ……」
美咲さんが俺を見上げたまま考え込み始めたので、俺はそのままゆっくり美咲さんに顔を近づけた。
触れた唇は、きっとチョコレートよりもずっとずっと甘いもの。
チラチラと舞い始めた雪の中、俺と美咲さんは互いのぬくもりを確かめるように口づけを交わした。
──fin──
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