恋の始まりはすれ違いから/茂庭要
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「っぶねぇなぁ」
「ごめんなさい!」
「あれ、黒崎さんじゃん。どうしたの、私服で」
顔を上げると、驚いた顔の鎌先くんと笹谷くんが立っていた。
茂庭くんの姿は、そこにはない。
「あのっ、もに、茂庭くんはっ?!?」
笹谷くんの質問にも答えず、私の口は茂庭くんの所在を尋ねていた。
ごめん、笹谷くん。今は一刻も早く茂庭くんに会いたいんだ。
「は?茂庭?」
「あー、そういう事」
鎌先くんは「茂庭に何の用だ?」って顔だったけど、笹谷くんは何かピンときたみたいで、うっすら笑みを浮かべていた。
「茂庭なら、商店街に買い出しに行ってるよ。スポーツ用品店の場所、分かる?」
「分かる! 笹谷くんありがとう!!!」
「どういたしまして」
何も言わなくても察してくれた笹谷くんは、神様に見えた。
お礼を言って、私は彼らに背を向けて走り出した。
家、学校、すれ違い続きで今度は商店街!
神様に意地悪されているような気もするけれど、とにかく商店街へ行く!!
駆けていく私の背に向けて、笹谷くんのエールが飛んできた。
「頑張れ、黒崎!」
「ありがと!!」
ちょっとだけ振り返って、手を振って答えた。
笹谷くんの隣の鎌先くんはいまだに不思議そうな顔をして私を見ていた。
── 一方の笹谷と鎌先 ──
「笹やん、あいつ何頑張んの?」
「……鎌ち、今日は何の日か知ってるだろ。考えないようにしてるだけで」
「何の日って…………」
長い沈黙の後、鎌先は目を見開いた。
笹谷の顔を震えながら見つめ、なんともいえない表情で唇はわなわなと震えている。
「っ、まさか、茂庭に?! いや、まさか……」
「祝ってやろうぜ、仲間のおめでたを」
悔しがる鎌先を尻目に、笹谷は茂庭のSNSに一足早く「祝」のスタンプを送った。
**********
「何だこれ」
「どうしたんですか?」
スポーツ店で買い出しを終えて、学校に戻ろうとしていた道中で、メッセージを告げる音が鳴った。
荷物片手にスマホを見ると、笹谷から「祝」のスタンプが送られている。
「何が『祝』なんだろ? 誰かと送り間違えたかな?」
「何かおめでたい事でもあったんですかね?」
隣を歩くマネージャーの滑津が、ひょこっと俺のスマホを覗き込む。