栗より甘い、/青根高伸
名前変換はココで!!
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―後日談―
朝、教室で青根と黒崎に紙袋を手渡された。
ずっしりと重たいそれを覗き込むと、赤いネットにこれでもかと詰め込まれた栗、栗、栗……。
「……行ったのか、栗拾い……」
俺の言葉に、二人はこくりと頷いた。
高校生のデートで栗拾いは無いと思う俺だったが、この二人はめいっぱい楽しんできたみたいだ。
それはこの紙袋の中身を見ただけでも、よく分かる。
「行ったところが羊の放牧もしててね、高伸くんにめちゃくちゃ寄ってきてさ!囲まれて困った顔の高伸くんがすっごく可愛くてねー」
「おーおー、それはよかったな」
なーにが悲しくて朝から惚気話を聞かされなきゃならねーんだ、なんて俺の気持ちはガン無視で、黒崎は笑顔で話を続けている。
「…で、その時の写メがこちら!」
「へー……って、何これウケる!俺にも送って」
半分どうでもいいと思いながら見た写メが、思いのほか面白かった。
確かに少し困った顔をした(それでも仏頂面に見える)青根が、ぐるりと白や黒の羊に取り囲まれている画像はめちゃくちゃシュールだった。
動物には好かれるタイプなのか、青根。意外な発見だ。
そしてさりげなくピースをしている青根に思わず噴き出してしまう。
バレー部で撮った集合写真でも、こんな青根は見たことがない。
彼女にだけ見せる姿なんだろう。
ちらりと見やった青根はどこか恥ずかしそうだ。
「……美咲も、可愛かった」
ぽつり、と突然青根がそんな言葉を口にしたものだから、俺は驚いてしまった。
黒崎と二人きりの時ならいざ知らず、俺もいるところで青根がそんなことを言うなんて、今までなら絶対に考えられないことだ。
それに、今、青根なんて言った?
『美咲』って言わなかったか?
思い返せば、黒崎も青根のことを『高伸』と呼んでいたような。
この間の一件から、二人の仲がだいぶ進展したらしい。
朝から惚気に当てられてしまったが、青根をいじるネタが増えたことについニヤニヤしてしまう。