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砂糖菓子みたいな

2年間同じクラスでみっちり思い出を作って、最後の1年で僕たちは呆気なくクラスが別れた。
仲が良すぎる生徒同士は離されるってよく聞くけど、最後の1年くらい意地でもいっしょにしてくれたらよかったのに。

初めのうちはお互いのクラスの前で待っていっしょに帰ったりしてたけど、駿人が塾に通うようになったり、色んな小さなずれが少しずつ僕たちを遠ざけていった。

ときどき遠くに駿人を見つけて、その周りに知らない彼の友だちがいると、心が不協和音を奏でるようだった。
話しかけたら迷惑だと思い込むようになって、あんなに質量が重く、ゆっくり流れていった2年間とは裏腹に、月日をただなぞるように、色のない風景を眺めた。

何度か女子が駿人のことをかっこいいと噂しているのを聞いた。
なんだかそういうところで、僕の中のイメージが勝手に作り替えられていくことが怖かった。

卒業式の日、ちらっと視線があった気がしたけど、僕が作り出した幻想かもしれない。
僕の思い出はそこで幕を閉じた。
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