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砂糖菓子みたいな

授業中ずっと背中しか見ていなかった僕が、ひっそり微笑む彼を見ることができるようになったこと。
何度も何度もそれを心の中で反芻して、その甘さを噛みしめた。
彼は真面目でやっぱり背筋をぴんと伸ばして授業を受けていたけど、僕が先生が見ていない隙に手紙を渡すと、ほっぺが緩むのが見えるのだ。

その内容は大抵わざわざ手紙にするようなこともない、他愛無いことだった。
きょうもいっしょに帰ろうとか、唐突に始まるしりとりとか。

でも1回だけ先生に見つかってこっぴどく叱られたことがあって、その後僕は不貞腐れて、見つかってもわからないように一生懸命ドイツ語を勉強しようとしたけど、やり方に行き詰って断念した。
そういえばドイツ語は?ときいた彼に正直に報告すると、彼はやっぱりと言って笑って僕の頭を撫でた。

話すようになってしばらくしてから、僕は彼のことを駿人と呼ぶようになった。
ねえ、とか肩をポンポンすることで済ませていたから改めてお互いの名前を自己紹介し合うのは恥ずかしかった。
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