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砂糖菓子みたいな

その日僕は委員会が終わって、教室に戻ってランドセルを取りに行こうとしていた。
廊下は夕日のひかりで満たされて、飽和しているみたいだった。
なんの音もしなかった。

僕は自分の足音だけが響くのを噛み締めながら階段を登った。
するとその先に、見慣れたシルエットがあることに気づいた。細長い、担任の影といっしょだ。
体にもともと植え付けられていた反射運動のように、僕は素早く反応して身を隠した。胸がどきどきしていた。

そのせいで僕は遠回りをしてあの廊下を通って行かなくてはならなくなった。
目の当たりにしてしまったら案に相違してなんでもないことのように見えた。
ずっと前からそこにあって知るべきだったものを、やっと自分の中に取り入れられたようだった。

彼の書く字をはじめて見た。
読書感想文って気にしてなかったけど、心の中がまるごと見えて、なんだか見ちゃいけないものをみているみたい。

文章は思っていたよりも表情が豊かだった。いつも表に出さないだけで、彼はいろんなことを思っていた。
ずっといくら見ても暴けなかった部分をいとも容易く引き出してしまったその文が、なんだか憎らしかった。
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