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砂糖菓子みたいな

田舎のこの町のこの学校は小人数で、一学年2、3クラスしかない。
だからクラス替えをしても大体見たことのある面々だ。

クラス替えをしてしばらくして、何度目かの席替えをしたとき、僕は初めて顔を知らない人がいた事を知った。
彼は僕の斜め前で、僕はいつも彼の後ろ姿を眺めていた。
背筋がぴんとしていて、宿題を忘れたことがない。動作がゆっくりしていて大きな声を出すどころか誰かと話すところを見たことがない。

初めはなんとなく眺めていただけだったけれど、だんだんそれが癖になってしまって愛着が湧いてしまって、勝手に友達のように思うようになっていた。

いつも夏に行われる校内の読書感想文コンテスト。
僕は本を読むのが好きで、読書感想文を書くのが得意だった。
これまで毎年僕が選考に残って表彰されていたから、どうしても負けられないという意地があった。というかそれは幼かった僕のアイデンティティだった。

そのとき僕は初めて伝記で感想文を書いた。あんまり難しいことは考えない性格だったから薄っぺらい上辺だけの文章になってしまって、僕は初めて銀賞をとった。
金賞はあろうことか僕が気になっていた彼で、なんだか裏切られたような気持ちになった。

受賞された作品は廊下に飾られて、僕はいつもわざわざその廊下を通って遠回りに教室に戻っていたが、そこが通れなくなった。

後ろ姿は何だか前までよりも強固に見えた。
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