標的13 耳を澄ませて目を凝らせ
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《視点:××××× 場所:××××》
「お嬢ちゃん。私のことをどう思ってる?」
……えっと、面倒見がよくて優しいけど、タイプではないかな。
「タイプかどうかという意味で訊いたのではないよ。幼女にタイプと言われても挨拶に困る」
じゃあ、なんで突然そんなこと訊いたの?
脈絡がなさすぎて、一瞬血迷ったかと思ったじゃん。
「ふと君と出会った時のことを思い出したんだよ。あの時は大変だったとね」
大変?
何かあったっけ?
「お嬢ちゃん、覚えてないのか? あの時、挨拶しようとした私にいきなりドロップキックを食らわせようとしただろう」
ああ、それか。
あれはびっくりしたね、まさか私の蹴りがガードされるなんて。
「反省の色はなさそうだな」
だって、目の前にいきなり知らないおじさんが現れたから、つい……。
見覚えのない人は信用するな、って兄さんが言ってたし。
「妹思いのお兄さんだ――ああ、なるほど。だからか」
何が?
「“今”の排他的な君の性格は、そういう周囲の寵愛によって形成されたものなのだと納得したんだよ。こうなると、“どちら”が正しいか一概に判断できないな」
おじさんって、よく私には理解できない話をして勝手に納得しちゃうよね。
「一応君に理解できるように言葉を残しているつもりだがね――さて、初対面では攻撃的で碌に会話もしてくれなかったお嬢ちゃんだが、今では私をどう思っているんだったか?」
さっき言ったやつ?
「ああ。もう一度」
えっと……、面倒見がよくて優しい?
「そうだ。それは、私とこうして話して、過ごしていくうちに君が出した評価だ。第一印象というのは大事だがね、一緒に会話をしたり行動したりすることによって、値踏みはいくらでも変わり得る。冴えない中年が友人思いの男だったり、神様のような少女が実はただの子供だったり――深く付き合うことで色々分かることがある。知り得なかった側面を見出すことができる。逆に第一印象から人物像が全く変わらないというのは、ある意味まだその人を知らないということかもしれない」
ふーん。
その辺、家族としか接してこなかった私にはピンと来ないなあ。
でも、確かに、第一印象のままだったら、おじさんはただの怪しいおじさんだもんね。
「……そうやって分かり合うためには、やはり電話やメールでは限界があると思うよ。ちゃんと耳を澄ませて、目を凝らすことだ」
あのさ、おじさん、一つ訊いてもいい?
「何だ?」
私が感じたおじさんの第一印象は、さっき言ったように『怪しい人』だったんだけど。
私の第一印象は、何だったの?
「お嬢ちゃん。私のことをどう思ってる?」
……えっと、面倒見がよくて優しいけど、タイプではないかな。
「タイプかどうかという意味で訊いたのではないよ。幼女にタイプと言われても挨拶に困る」
じゃあ、なんで突然そんなこと訊いたの?
脈絡がなさすぎて、一瞬血迷ったかと思ったじゃん。
「ふと君と出会った時のことを思い出したんだよ。あの時は大変だったとね」
大変?
何かあったっけ?
「お嬢ちゃん、覚えてないのか? あの時、挨拶しようとした私にいきなりドロップキックを食らわせようとしただろう」
ああ、それか。
あれはびっくりしたね、まさか私の蹴りがガードされるなんて。
「反省の色はなさそうだな」
だって、目の前にいきなり知らないおじさんが現れたから、つい……。
見覚えのない人は信用するな、って兄さんが言ってたし。
「妹思いのお兄さんだ――ああ、なるほど。だからか」
何が?
「“今”の排他的な君の性格は、そういう周囲の寵愛によって形成されたものなのだと納得したんだよ。こうなると、“どちら”が正しいか一概に判断できないな」
おじさんって、よく私には理解できない話をして勝手に納得しちゃうよね。
「一応君に理解できるように言葉を残しているつもりだがね――さて、初対面では攻撃的で碌に会話もしてくれなかったお嬢ちゃんだが、今では私をどう思っているんだったか?」
さっき言ったやつ?
「ああ。もう一度」
えっと……、面倒見がよくて優しい?
「そうだ。それは、私とこうして話して、過ごしていくうちに君が出した評価だ。第一印象というのは大事だがね、一緒に会話をしたり行動したりすることによって、値踏みはいくらでも変わり得る。冴えない中年が友人思いの男だったり、神様のような少女が実はただの子供だったり――深く付き合うことで色々分かることがある。知り得なかった側面を見出すことができる。逆に第一印象から人物像が全く変わらないというのは、ある意味まだその人を知らないということかもしれない」
ふーん。
その辺、家族としか接してこなかった私にはピンと来ないなあ。
でも、確かに、第一印象のままだったら、おじさんはただの怪しいおじさんだもんね。
「……そうやって分かり合うためには、やはり電話やメールでは限界があると思うよ。ちゃんと耳を澄ませて、目を凝らすことだ」
あのさ、おじさん、一つ訊いてもいい?
「何だ?」
私が感じたおじさんの第一印象は、さっき言ったように『怪しい人』だったんだけど。
私の第一印象は、何だったの?