標的12 夏の課題と千客万来
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《視点:宮野アゲハ 場所:同アゲハの自室》
ハルの父親を案内してから自室に戻り、やっと一息吐くことができた。
ドアの修繕を依頼しなければ、と携帯電話を取り出すと、いつの間にかメール受信の通知が来ていた。
そういえば、ビアンキの対応をしていた時に携帯電話が振動していた気がする――と思い返しているうちに、もう一件メールが届いた。
一件目のメールは部下からで、近況報告と質問がいくつか書かれている。
今受信した二件目は、九条 雅也 からだった。
雅也君からの連絡は、電話もメールも“あれ”以来一度もなかった。
家族について、護衛について訊いたあの時が最後である。
部下への返信を後回し、先に雅也君のメールに目を通すことにした。
雅也君に関連することを後回してはいけないような気がしたのだ。
メールの件名には『夏の課題』とあった。
すぐに隣の部屋で補習課題に取り組む綱吉達のことが頭をよぎる。
壁越しに会話を聞く限り、例の問七は解決したようだ。
しかし聞き耳を立てて詳しい状況を把握する前に、目の前のメールの本文に首を傾げることになった。
あまりに突飛な内容に、一瞬思考と感覚器の働きが停止した気がした。
深呼吸し心を落ち着けてから、もう一度画面に目を落とす。
何度も凝視し何度も読み返すが、内容が変化することはない。
何度読んでも意味が分からない。
暗号というわけではなく、ちゃんと文章は成立している。
意味が分からないと言ったが、そういう意味では内容の意味は把握できている。
内容は頭に入ったが、どういう意図なのか全く理解できないのだ。
今の状況はハルの我慢大会の説明を聞いた時と似ている。
異なるのは、解説してくれそうな人間がこの場にいないという点だ。
もう一度、何度目になるか分からないが本文を熟読する。
電話と違い、無駄話を一切せず単刀直入に用件のみ記す普段通りの雅也君らしいメールである。
それだけは普段通りだった。
簡潔な本文にはこうあった。
『アゲハちゃんの学校が夏休みに入ったので、オレから夏休みの宿題を出そう。
期限は九月三日の始業式まで。
それまでにアゲハちゃんなりの解答を出せば合格とする。
無視してもいいけれど、解けなければ十代目護衛の任務から外すから覚悟するように。
さて、肝心の宿題の内容だが――
問題は既に提示されている。
ヒントは今日そっちで起こった出来事の中の何処かにある。
健闘を祈るよ。
九条雅也』
以上である。
それだけである。
他には何もない。
添付ファイルもないし、追加の受信メールもない。
件名と、意味不明の本文しかない。
「……はあ?」
最後の最後で、最大の謎に叩き落とされた。
(標的12 了)
ハルの父親を案内してから自室に戻り、やっと一息吐くことができた。
ドアの修繕を依頼しなければ、と携帯電話を取り出すと、いつの間にかメール受信の通知が来ていた。
そういえば、ビアンキの対応をしていた時に携帯電話が振動していた気がする――と思い返しているうちに、もう一件メールが届いた。
一件目のメールは部下からで、近況報告と質問がいくつか書かれている。
今受信した二件目は、
雅也君からの連絡は、電話もメールも“あれ”以来一度もなかった。
家族について、護衛について訊いたあの時が最後である。
部下への返信を後回し、先に雅也君のメールに目を通すことにした。
雅也君に関連することを後回してはいけないような気がしたのだ。
メールの件名には『夏の課題』とあった。
すぐに隣の部屋で補習課題に取り組む綱吉達のことが頭をよぎる。
壁越しに会話を聞く限り、例の問七は解決したようだ。
しかし聞き耳を立てて詳しい状況を把握する前に、目の前のメールの本文に首を傾げることになった。
あまりに突飛な内容に、一瞬思考と感覚器の働きが停止した気がした。
深呼吸し心を落ち着けてから、もう一度画面に目を落とす。
何度も凝視し何度も読み返すが、内容が変化することはない。
何度読んでも意味が分からない。
暗号というわけではなく、ちゃんと文章は成立している。
意味が分からないと言ったが、そういう意味では内容の意味は把握できている。
内容は頭に入ったが、どういう意図なのか全く理解できないのだ。
今の状況はハルの我慢大会の説明を聞いた時と似ている。
異なるのは、解説してくれそうな人間がこの場にいないという点だ。
もう一度、何度目になるか分からないが本文を熟読する。
電話と違い、無駄話を一切せず単刀直入に用件のみ記す普段通りの雅也君らしいメールである。
それだけは普段通りだった。
簡潔な本文にはこうあった。
『アゲハちゃんの学校が夏休みに入ったので、オレから夏休みの宿題を出そう。
期限は九月三日の始業式まで。
それまでにアゲハちゃんなりの解答を出せば合格とする。
無視してもいいけれど、解けなければ十代目護衛の任務から外すから覚悟するように。
さて、肝心の宿題の内容だが――
問題は既に提示されている。
ヒントは今日そっちで起こった出来事の中の何処かにある。
健闘を祈るよ。
九条雅也』
以上である。
それだけである。
他には何もない。
添付ファイルもないし、追加の受信メールもない。
件名と、意味不明の本文しかない。
「……はあ?」
最後の最後で、最大の謎に叩き落とされた。
(標的12 了)