標的11 想像と理解を超えた存在
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《視点:宮野アゲハ 場所:同河川敷》
岸に上がった二人に、用意したタオルを差し出す。
綱吉がハルの救出に成功したと判断した直後、急いで家から取って来たのだ。
こうなると護衛というより世話係みたいだ。
「ありがとーございました……」
受け取ったタオルを頭に被り、しおらしく礼を言うハル。
「ったく、反省してんのか? 十代目にもしものことがあったら、おめーこの世に存在しねーんだからな」
「貴方も誰彼構わず爆破したことを反省しなさい」
「うっ」
横柄に言い放つ獄寺を嗜めると、痛いところを突かれて押し黙った。
すると、今まで項垂れていたハルが突然吹き出した。
何事かと全員が注目すると、彼女は勢いよく立ち上がり大声を上げた。
「死ぬ気でハルを救う! オレに掴まれーっ」
ジェスチャーを交えながらの台詞は、つい先ほど聞いたばかりだ。
これは綱吉が助けた時の再現だろうか。
「そんなクサイ台詞、テレビの中だけだと思ってました」
嬉しそうに話す彼女の態度からは反省の色が窺えない。
先ほどまでのしおらしさは幻だっただろうか。
「向こう岸まで泳ぐーっ」
「ちょっ、止めてよ! 恥ずかしーっ」
綱吉が慌てて止めるが、未だにパンツ一枚のその姿は恥ずかしくないのだろうか。
一応新しい着替えも持って来ているのだが。
「すごく……素敵でしたよ。リボーンちゃんの代わりに飛び込んでくれた十・代・目♡」
そう言って頬を染め、うっとりと綱吉を見つめるハルは明らかに様子がおかしい。
しかも、彼女は衝撃の告白をしたのだった。
「ハルはツナさんに惚れた模様です」
「んな゛ー!!」
綱吉が奇妙な叫び声を出したが、私も思わず声を上げそうになるほど驚愕した。
昨日の態度から察すると、彼女はリボーンのことが好きではなかったのか。
「でも確かリボーンのことが好きなんだろ?」
綱吉の疑問とシンクロした。
すると彼女はしれっとこんなことを言い出したのだ。
「今はツナさんにギュっとしてもらいたい気分です」
「えー!!?」
どうやら冗談ではなく、本気で綱吉に惚れたらしい。
昨日はパンチを繰り出し、数分前には鎧姿で襲った相手に恋をする――そんなことが、そんな劇的な感情の変化が、本当にあるのだろうか。
先ほど溺れかけた人間とは思えないほど元気に綱吉を追いかけ回すハルを観察する。
恋とは、果たしてどのような存在なのだろうか。
ビアンキは愛を唱え、三浦ハルは恋を伝えた。
やはり、彼女達は似た者同士だ。
私が知らない感情を当然のように身につけ、誇らしげに掲げている。
では、愛と同様に、恋も私には理解できない存在なのか。
あんな風に嬉しそうに、輝かしく少女を彩る感情を知ることはできないのか。
………。
こういう時に意見を仰げる人間は雅也君以外いないのだが、果たして彼は私の望む解答をくれるだろうか。
以前家族について訊いた時のように、『自分で考えろ』と言われてしまいそうだ。
それでも、あの時とは都合が変わっているかもしれないという一縷の期待に賭けてみようか。
――そう考えた瞬間。
「……?」
誰かが、息をのむ気配がした。
岸に上がった二人に、用意したタオルを差し出す。
綱吉がハルの救出に成功したと判断した直後、急いで家から取って来たのだ。
こうなると護衛というより世話係みたいだ。
「ありがとーございました……」
受け取ったタオルを頭に被り、しおらしく礼を言うハル。
「ったく、反省してんのか? 十代目にもしものことがあったら、おめーこの世に存在しねーんだからな」
「貴方も誰彼構わず爆破したことを反省しなさい」
「うっ」
横柄に言い放つ獄寺を嗜めると、痛いところを突かれて押し黙った。
すると、今まで項垂れていたハルが突然吹き出した。
何事かと全員が注目すると、彼女は勢いよく立ち上がり大声を上げた。
「死ぬ気でハルを救う! オレに掴まれーっ」
ジェスチャーを交えながらの台詞は、つい先ほど聞いたばかりだ。
これは綱吉が助けた時の再現だろうか。
「そんなクサイ台詞、テレビの中だけだと思ってました」
嬉しそうに話す彼女の態度からは反省の色が窺えない。
先ほどまでのしおらしさは幻だっただろうか。
「向こう岸まで泳ぐーっ」
「ちょっ、止めてよ! 恥ずかしーっ」
綱吉が慌てて止めるが、未だにパンツ一枚のその姿は恥ずかしくないのだろうか。
一応新しい着替えも持って来ているのだが。
「すごく……素敵でしたよ。リボーンちゃんの代わりに飛び込んでくれた十・代・目♡」
そう言って頬を染め、うっとりと綱吉を見つめるハルは明らかに様子がおかしい。
しかも、彼女は衝撃の告白をしたのだった。
「ハルはツナさんに惚れた模様です」
「んな゛ー!!」
綱吉が奇妙な叫び声を出したが、私も思わず声を上げそうになるほど驚愕した。
昨日の態度から察すると、彼女はリボーンのことが好きではなかったのか。
「でも確かリボーンのことが好きなんだろ?」
綱吉の疑問とシンクロした。
すると彼女はしれっとこんなことを言い出したのだ。
「今はツナさんにギュっとしてもらいたい気分です」
「えー!!?」
どうやら冗談ではなく、本気で綱吉に惚れたらしい。
昨日はパンチを繰り出し、数分前には鎧姿で襲った相手に恋をする――そんなことが、そんな劇的な感情の変化が、本当にあるのだろうか。
先ほど溺れかけた人間とは思えないほど元気に綱吉を追いかけ回すハルを観察する。
恋とは、果たしてどのような存在なのだろうか。
ビアンキは愛を唱え、三浦ハルは恋を伝えた。
やはり、彼女達は似た者同士だ。
私が知らない感情を当然のように身につけ、誇らしげに掲げている。
では、愛と同様に、恋も私には理解できない存在なのか。
あんな風に嬉しそうに、輝かしく少女を彩る感情を知ることはできないのか。
………。
こういう時に意見を仰げる人間は雅也君以外いないのだが、果たして彼は私の望む解答をくれるだろうか。
以前家族について訊いた時のように、『自分で考えろ』と言われてしまいそうだ。
それでも、あの時とは都合が変わっているかもしれないという一縷の期待に賭けてみようか。
――そう考えた瞬間。
「……?」
誰かが、息をのむ気配がした。