標的11 想像と理解を超えた存在
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《視点:宮野アゲハ 場所:沢田家綱吉の自室》
「ツナ! ランボさんと遊べー!」
「分かったから落ち着けって、ランボ!!」
いつも通り綱吉がランボに振り回されている光景を横目に、ベッドの上でファッション雑誌を捲る。
しかし私の意識は雑誌ではなく、家の外に向けられていた。
先ほどから沢田家の門柱に不審人物が潜んでいる気配がするのだ。
しかもそれは新手の殺し屋などではなく――一般の女子中学生である。
「………」
どうやらあの三浦ハルという少女は行動力が凄まじいようだ。
当然気配を消す術など知らない彼女の行動は、こうして部屋で寛いでいるだけで筒抜けだ。
カーテンが閉まっているので中の様子は分かるはずがないのに、塀に身を隠すようにして執拗にこちらを観察している。
今のところそれ以外に不審な点は見当たらないが、相手が一般人なだけに扱いが難しい。
善良な市民を装って匿名で通報でもしてみようか。
冗談でそう思いかけた頃、彼女に動きがあった。
正確には、彼女の周囲に動きがあったと言うべきだろうか。
通りの向こうからビアンキがふらふらと三浦ハルに近づいて来たのだ。
ビアンキはビアンキで酔っているのか、気配を隠そうともしていない。
そして、彼女は三浦ハルの首根っこを掴まれて引き摺っていき、夜の闇の中へと消えていった。
室内の喧騒を尻目に、静かに一部始終を把握する。
ビアンキと三浦ハル。
それぞれ癖の強い彼女達が交われば、どんな化学変化が起こるのだろうか。
興味深くもあり、多少怖くもある。
両者ともこれ以上ぶっ飛んでほしくない。
しかしともあれ、これで不審者二人が一気に片付いた。
ひとまず沢田家の平穏は保たれたのだ。
また彼女達が戻って来るようなら改めて対策を考えればいい。
少なくとも、ビアンキには容赦しなくていいのだから。
一息吐いて、再び手元の雑誌に目を通す。
しかし、次のページを繰る前に再び意識を外さなければならなくなった。
それまで綱吉と戯れていたはずのランボが私の足元にじゃれるように寄って来たのだ。
「アゲハも一緒に遊ぶんだもんね!」
「……ん」
声のする方へ視線を移すと、ランボは期待に満ちた瞳で見上げている。
どうやらこの子供に好かれているようだが、特に優しくした記憶はないどころか会話した記憶もないのに一体何故だろう。
自分で言うのも何だが、子供に好かれる性格か?
「何して遊ぶのよ」
「ゲーム! ツナもやるんだよ!」
「……ふうん」
今朝の綱吉との会話が脳裏に蘇る。
――子供は接し方が分からない。
そして、雅也 君に告げた決意の言葉を思い出す。
――けれど、やめようと思ったのよ。手に入らないから、必要ないから、関係ないからと言って、知ろうとしないのは――理解しようとしないのは。
雑誌を閉じ、ベッドから立ち上がる。
「いいわよ。大人げなく圧勝してやるわ」
「やったー!!」
珍しいものを見る目をしている綱吉の隣に座り、コントローラーを手に取る。
今は、束の間の安息に身を任せるのも悪くない。
その後、予告通り子供相手に大差で圧勝し、「本当に大人げない!!」と綱吉に呆れられたのは別の話。
「ツナ! ランボさんと遊べー!」
「分かったから落ち着けって、ランボ!!」
いつも通り綱吉がランボに振り回されている光景を横目に、ベッドの上でファッション雑誌を捲る。
しかし私の意識は雑誌ではなく、家の外に向けられていた。
先ほどから沢田家の門柱に不審人物が潜んでいる気配がするのだ。
しかもそれは新手の殺し屋などではなく――一般の女子中学生である。
「………」
どうやらあの三浦ハルという少女は行動力が凄まじいようだ。
当然気配を消す術など知らない彼女の行動は、こうして部屋で寛いでいるだけで筒抜けだ。
カーテンが閉まっているので中の様子は分かるはずがないのに、塀に身を隠すようにして執拗にこちらを観察している。
今のところそれ以外に不審な点は見当たらないが、相手が一般人なだけに扱いが難しい。
善良な市民を装って匿名で通報でもしてみようか。
冗談でそう思いかけた頃、彼女に動きがあった。
正確には、彼女の周囲に動きがあったと言うべきだろうか。
通りの向こうからビアンキがふらふらと三浦ハルに近づいて来たのだ。
ビアンキはビアンキで酔っているのか、気配を隠そうともしていない。
そして、彼女は三浦ハルの首根っこを掴まれて引き摺っていき、夜の闇の中へと消えていった。
室内の喧騒を尻目に、静かに一部始終を把握する。
ビアンキと三浦ハル。
それぞれ癖の強い彼女達が交われば、どんな化学変化が起こるのだろうか。
興味深くもあり、多少怖くもある。
両者ともこれ以上ぶっ飛んでほしくない。
しかしともあれ、これで不審者二人が一気に片付いた。
ひとまず沢田家の平穏は保たれたのだ。
また彼女達が戻って来るようなら改めて対策を考えればいい。
少なくとも、ビアンキには容赦しなくていいのだから。
一息吐いて、再び手元の雑誌に目を通す。
しかし、次のページを繰る前に再び意識を外さなければならなくなった。
それまで綱吉と戯れていたはずのランボが私の足元にじゃれるように寄って来たのだ。
「アゲハも一緒に遊ぶんだもんね!」
「……ん」
声のする方へ視線を移すと、ランボは期待に満ちた瞳で見上げている。
どうやらこの子供に好かれているようだが、特に優しくした記憶はないどころか会話した記憶もないのに一体何故だろう。
自分で言うのも何だが、子供に好かれる性格か?
「何して遊ぶのよ」
「ゲーム! ツナもやるんだよ!」
「……ふうん」
今朝の綱吉との会話が脳裏に蘇る。
――子供は接し方が分からない。
そして、
――けれど、やめようと思ったのよ。手に入らないから、必要ないから、関係ないからと言って、知ろうとしないのは――理解しようとしないのは。
雑誌を閉じ、ベッドから立ち上がる。
「いいわよ。大人げなく圧勝してやるわ」
「やったー!!」
珍しいものを見る目をしている綱吉の隣に座り、コントローラーを手に取る。
今は、束の間の安息に身を任せるのも悪くない。
その後、予告通り子供相手に大差で圧勝し、「本当に大人げない!!」と綱吉に呆れられたのは別の話。