標的11 想像と理解を超えた存在
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《視点:宮野アゲハ 場所:並盛町通学路》
本日も綱吉やリボーンと平穏に登校する。
綱吉は私と並んで歩き、リボーンはその横の塀の上を器用に移動している。
静かな住宅街に、綱吉の驚きを孕んだ声が木霊した。
「えっ、アゲハと獄寺君って知り合いだったの!?」
昨日のビアンキの一件(リボーンの懇願で浜名湖までうなぎを捕りに行った)から派生し、そんな話題になったのだ。
「ええ、そうよ。けれど、向こうは覚えていないと思うわ」
「……子供の時にアゲハと出会ったなんて、オレだったら忘れたくても忘れられないと思うけど……」
納得いかないように眉をひそめる綱吉。
確かリボーンにこの話をした時にも、そのような反論をされたのだった。
しかし、人の記憶など曖昧で不確かだということを私は知っている。
「でもそっか、アゲハにも子供の頃があったのか」
「当然でしょう。何を訳の分からないことを言ってるのよ」
「アゲハならずっとその姿だって言われても納得できるよ」
私生活が全然見えないし、とひとりごちる。
一緒に暮らしているのに、それこそ訳が分からない。
そう告げると、綱吉は複雑そうな顔で弁解する。
「そういうことじゃなくって……。ほら、自分の部屋で何やってるかも知らないし」
「ボンゴレ本部に提出する報告書を仕上げたりしているだけで、大したことはやってないわよ」
「私服だって見たことないし」
「任務中はスーツか制服と決めているの。だいぶ見慣れたでしょう、私の制服姿」
「最初は違和感ばりばりだった上に、登場の時は心臓止まるかと思ったけどな!!」
綱吉に内緒で転入したあの一件は、彼にとって相当ショックが大きかったようだ。
しかもさり気なく制服姿の悪口を言われた。
「それにこの間浴衣姿だって見たでしょう。あまり反応はよくなかったけれど」
「いや! あれは……似合ってなかったわけじゃなくて……」
声を荒らげたと思ったら不自然に言い淀んだので、首を傾げて綱吉の瞳を見つめる。
すると、必死に別の話題を考えようと目が泳ぎ出した。
よほど触れられたくないらしい。
「あ! 子供って言えば、アゲハって子供苦手なのか?」
「……どういう意味?」
話を逸らされたと気づきつつも気になったので先を促すと、綱吉はあからさまに安堵しながら言葉を続けた。
「だって、家にいてもランボとあんまり絡まないじゃないか」
その指摘に得心がいった。
思い返せば、誰かを挟んでならともかく二人きりで会話したことすらない。
意識的でないとは言え、避けているという自覚はある。
「苦手じゃないわよ。子供は接し方が分からないだけ。私の周囲にはあんなに子供らしい子供はいなかったから」
見た目だけ赤ん坊の同僚を横目で見るが、本人は完全に無関心を装っている。
ちなみに、同様の理由で同世代の接し方も未だによく分かっていない。
客観的に見て、京子や花とはうまくやれていると言えるだろうか。
「それに私が苦手な人間はこの世に二人だけよ」
そして、嫌いな人間はこの世にたった一人だけだ。
ピンク色のツインテールが脳裏を掠める。
「……誰だよ? 苦手な人間って」
「少しは自分で考えなさい」
自分のことは棚に上げそう言い捨てて。
綱吉の視線から逃れるように、顔を正面に向けた。
そして、目を疑った。
本日も綱吉やリボーンと平穏に登校する。
綱吉は私と並んで歩き、リボーンはその横の塀の上を器用に移動している。
静かな住宅街に、綱吉の驚きを孕んだ声が木霊した。
「えっ、アゲハと獄寺君って知り合いだったの!?」
昨日のビアンキの一件(リボーンの懇願で浜名湖までうなぎを捕りに行った)から派生し、そんな話題になったのだ。
「ええ、そうよ。けれど、向こうは覚えていないと思うわ」
「……子供の時にアゲハと出会ったなんて、オレだったら忘れたくても忘れられないと思うけど……」
納得いかないように眉をひそめる綱吉。
確かリボーンにこの話をした時にも、そのような反論をされたのだった。
しかし、人の記憶など曖昧で不確かだということを私は知っている。
「でもそっか、アゲハにも子供の頃があったのか」
「当然でしょう。何を訳の分からないことを言ってるのよ」
「アゲハならずっとその姿だって言われても納得できるよ」
私生活が全然見えないし、とひとりごちる。
一緒に暮らしているのに、それこそ訳が分からない。
そう告げると、綱吉は複雑そうな顔で弁解する。
「そういうことじゃなくって……。ほら、自分の部屋で何やってるかも知らないし」
「ボンゴレ本部に提出する報告書を仕上げたりしているだけで、大したことはやってないわよ」
「私服だって見たことないし」
「任務中はスーツか制服と決めているの。だいぶ見慣れたでしょう、私の制服姿」
「最初は違和感ばりばりだった上に、登場の時は心臓止まるかと思ったけどな!!」
綱吉に内緒で転入したあの一件は、彼にとって相当ショックが大きかったようだ。
しかもさり気なく制服姿の悪口を言われた。
「それにこの間浴衣姿だって見たでしょう。あまり反応はよくなかったけれど」
「いや! あれは……似合ってなかったわけじゃなくて……」
声を荒らげたと思ったら不自然に言い淀んだので、首を傾げて綱吉の瞳を見つめる。
すると、必死に別の話題を考えようと目が泳ぎ出した。
よほど触れられたくないらしい。
「あ! 子供って言えば、アゲハって子供苦手なのか?」
「……どういう意味?」
話を逸らされたと気づきつつも気になったので先を促すと、綱吉はあからさまに安堵しながら言葉を続けた。
「だって、家にいてもランボとあんまり絡まないじゃないか」
その指摘に得心がいった。
思い返せば、誰かを挟んでならともかく二人きりで会話したことすらない。
意識的でないとは言え、避けているという自覚はある。
「苦手じゃないわよ。子供は接し方が分からないだけ。私の周囲にはあんなに子供らしい子供はいなかったから」
見た目だけ赤ん坊の同僚を横目で見るが、本人は完全に無関心を装っている。
ちなみに、同様の理由で同世代の接し方も未だによく分かっていない。
客観的に見て、京子や花とはうまくやれていると言えるだろうか。
「それに私が苦手な人間はこの世に二人だけよ」
そして、嫌いな人間はこの世にたった一人だけだ。
ピンク色のツインテールが脳裏を掠める。
「……誰だよ? 苦手な人間って」
「少しは自分で考えなさい」
自分のことは棚に上げそう言い捨てて。
綱吉の視線から逃れるように、顔を正面に向けた。
そして、目を疑った。