標的8 ご都合主義に都合のいい展開
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《視点:宮野アゲハ 場所:並盛中学校正門前》
隣を歩く綱吉が、ふあ、とだらしなく欠伸をした。
「随分眠そうね」
「他人事みたいに言うなよ……」
心配してあげたというのに、綱吉はそう吐き捨てた。
しかし声色は生気が乏しい――顔色も決して良いとは言えず、目の下に隈が出来ている。
綱吉がここまで疲弊している理由は、最近沢田家に出入りしているボヴィーノファミリーの殺し屋・ランボの所為である。
懲りずにリボーンを殺そうとしては返り討ちに遭い、そのたびに綱吉に泣きついているのだ。
「ツナも放っておけばいいのに」
「放っておけるわけないだろ。そもそも、ランボはまだ子供なんだし」
「……まあ、いいけれど。その調子でリボーンの授業に支障が出たら、どんな目に遭うか知らないわよ」
私の忠告でこれまでのリボーンの指導を思い出したらしく、綱吉は青ざめながら嘆息した。
どうにも苦労の多い性質のようだ。
その時、背後から誰かが小走りで近づいて来る気配がしたので、意識をそちらに向けた。
綱吉は気づいておらず、再び欠伸を漏らしている。
そんな綱吉の隣から、私達に向かって親しげに声を掛ける人物が現れた。
「よお、ツナ、アゲハ」
「山本! おはよ!」
「……おはよう」
自殺未遂騒動の翌日から、山本武は私や綱吉に頻繁に話し掛けてくるようになった。
そして、同時に私をファーストネームで呼ぶようになったのだ。
呼び方に苦言を呈するつもりはないが、その変化に最初違和感を覚えたのは事実だ。
山本の自殺を直接阻止した綱吉と親密になるのは理解できるが、偶然あの場にいただけの私と距離を縮めようとするのは一体どういう心境の変化だろうか。
横で観察されているとは露知らず、山本は呑気に綱吉の肩に肘を乗せる。
「なんだ、寝不足か? 隈出来てんぞ」
山本にまで指摘され、綱吉は苦笑しながら誤魔化した。
さすがに居候している殺し屋の存在は明かせないと思ったのだろう。
「ま、勉強で寝不足でねーんならいーんだけどな」
「え?」
「落ちこぼれ仲間が減っちまうだろ?」
そう快活に笑う山本だが、彼は綱吉と違って学業より部活を優先しているだけのような気がする。
恐らく本気で勉強に打ち込めば、成績は格段に向上するタイプだろう。
同じ『落ちこぼれ仲間』だとしても、綱吉はもう少し山本を見習うべきだ。
そう思案しながら歩いている間も二人の会話は進んでいく。
その時、山本が綱吉の頭を肘で軽く小突いた。
別に目くじらを立てることではない、男子中学生の間ではよくあるスキンシップだろう。
しかし、それをただのスキンシップと許さない人がいた。
山本が綱吉に触れた瞬間、私達の背後数十メートル先の歩道橋の上から突き刺さるような視線を感じたのだ――山本に対して。
隠そうともしない山本への敵意に、密かにため息を飲み込んだ。
視線の正体が誰なのか、後ろを振り返って確認するまでもない。
綱吉に無礼を働く者に目を光らせる存在など、一人しかいない。
獄寺隼人しかいない。
先ほど飲み込んだ嘆息を、今度こそ吐き出した。
その忠誠心は見上げたものだが、どうにも過剰というか過敏というか、どちらかと言うと空回りしているような印象を受けるのは、果たして考えすぎだろうか。
まあ、それが実際に綱吉に害をなすものでなければ、私は別に構わないのだが。
横で綱吉と仲良く話す山本を盗み見た。
獄寺の意図に気づかずに、笑顔で他愛もない会話を楽しんでいる。
獄寺と山本、アクの強い部下達をどう束ねるか、精々綱吉 の力量に任せよう。
隣を歩く綱吉が、ふあ、とだらしなく欠伸をした。
「随分眠そうね」
「他人事みたいに言うなよ……」
心配してあげたというのに、綱吉はそう吐き捨てた。
しかし声色は生気が乏しい――顔色も決して良いとは言えず、目の下に隈が出来ている。
綱吉がここまで疲弊している理由は、最近沢田家に出入りしているボヴィーノファミリーの殺し屋・ランボの所為である。
懲りずにリボーンを殺そうとしては返り討ちに遭い、そのたびに綱吉に泣きついているのだ。
「ツナも放っておけばいいのに」
「放っておけるわけないだろ。そもそも、ランボはまだ子供なんだし」
「……まあ、いいけれど。その調子でリボーンの授業に支障が出たら、どんな目に遭うか知らないわよ」
私の忠告でこれまでのリボーンの指導を思い出したらしく、綱吉は青ざめながら嘆息した。
どうにも苦労の多い性質のようだ。
その時、背後から誰かが小走りで近づいて来る気配がしたので、意識をそちらに向けた。
綱吉は気づいておらず、再び欠伸を漏らしている。
そんな綱吉の隣から、私達に向かって親しげに声を掛ける人物が現れた。
「よお、ツナ、アゲハ」
「山本! おはよ!」
「……おはよう」
自殺未遂騒動の翌日から、山本武は私や綱吉に頻繁に話し掛けてくるようになった。
そして、同時に私をファーストネームで呼ぶようになったのだ。
呼び方に苦言を呈するつもりはないが、その変化に最初違和感を覚えたのは事実だ。
山本の自殺を直接阻止した綱吉と親密になるのは理解できるが、偶然あの場にいただけの私と距離を縮めようとするのは一体どういう心境の変化だろうか。
横で観察されているとは露知らず、山本は呑気に綱吉の肩に肘を乗せる。
「なんだ、寝不足か? 隈出来てんぞ」
山本にまで指摘され、綱吉は苦笑しながら誤魔化した。
さすがに居候している殺し屋の存在は明かせないと思ったのだろう。
「ま、勉強で寝不足でねーんならいーんだけどな」
「え?」
「落ちこぼれ仲間が減っちまうだろ?」
そう快活に笑う山本だが、彼は綱吉と違って学業より部活を優先しているだけのような気がする。
恐らく本気で勉強に打ち込めば、成績は格段に向上するタイプだろう。
同じ『落ちこぼれ仲間』だとしても、綱吉はもう少し山本を見習うべきだ。
そう思案しながら歩いている間も二人の会話は進んでいく。
その時、山本が綱吉の頭を肘で軽く小突いた。
別に目くじらを立てることではない、男子中学生の間ではよくあるスキンシップだろう。
しかし、それをただのスキンシップと許さない人がいた。
山本が綱吉に触れた瞬間、私達の背後数十メートル先の歩道橋の上から突き刺さるような視線を感じたのだ――山本に対して。
隠そうともしない山本への敵意に、密かにため息を飲み込んだ。
視線の正体が誰なのか、後ろを振り返って確認するまでもない。
綱吉に無礼を働く者に目を光らせる存在など、一人しかいない。
獄寺隼人しかいない。
先ほど飲み込んだ嘆息を、今度こそ吐き出した。
その忠誠心は見上げたものだが、どうにも過剰というか過敏というか、どちらかと言うと空回りしているような印象を受けるのは、果たして考えすぎだろうか。
まあ、それが実際に綱吉に害をなすものでなければ、私は別に構わないのだが。
横で綱吉と仲良く話す山本を盗み見た。
獄寺の意図に気づかずに、笑顔で他愛もない会話を楽しんでいる。
獄寺と山本、アクの強い部下達をどう束ねるか、精々
