標的7 両極端な見解の一致
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《視点:宮野アゲハ 場所:沢田家アゲハの自室》
今日はリボーンがつきっきりで綱吉に勉強を教えるというので、私は報告書作成に専念していた。
最近の綱吉の様子や周囲の人間関係をまとめていると、隣の部屋から爆発音と衝撃が響いた。
ただし敵襲でも何でもなく、綱吉が問題を間違えるたびに、リボーンが爆弾を作動させているだけである。
ややバイオレンスな指導方法だが、何故かママンは『ツナの指導に必要だ』というリボーンの言葉を鵜呑みにして特に疑問を持っていないらしい。
さすが、赤ん坊の家庭教師を許容するだけはある。
息子がああも常識人になったのは、母親の反面教師だろうか――と考えたところで、キーボードを叩く手を止めた。
沢田家の傍で怪しげな動きをする気配を感じ取ったのだ。
注意深く気配を探ると、不審者は四、五歳くらいの子供だと判明した。
リボーンや私をはじめ子供の殺し屋は多く存在するので特に偏見はないものの、今回の侵入者はどうも刺客らしくない。
というのも、気配の消し方から身のこなしまで素人同然なのだ。
気配を消すどころか、見つからないようにしようとする努力そのものが感じられない。
むしろ近所の子供が迷い込んで来たと判断する方が自然かもしれない。
とはいえ、勿論それが敵の油断を誘うための罠であるという線も充分考えられる。
パソコンを閉じて、外から見えないように注意しながら窓の近くに移動する。
すると、すぐに覚束ない動きで塀の外の木によじ登る牛柄タイツの子供を発見できた。
こうして目視すると、動きが殺し屋のものとは到底思えない――演技だとしたら素晴らしい才能だ。
綱吉に向けられた殺し屋なら雇用主のことを知りたいので、殺すのではなく捕らえて尋問することに決めた。
窓から飛び降り、幹の中央にしがみつく子供を引きはがして地面に降り立つ。
逃げられないよう腕の中に閉じ込めてみても、本人は状況が呑み込めていないのか、呆然と私の顔を凝視して抵抗する様子を見せない。
彼が囮という可能性も考慮し、周囲の気配に注意しながら尋問を開始した。
「貴方、名前は?」
「オレっち? ランボだよ!」
意外にもすんなり答えたので、拍子抜けしてしまう。
本当に近所の子供に話しかけている気分だ。
実際に話したことは一度もないが。
「何処のファミリーなの?」
「ボヴィーノファミリー」
その言葉に、子供――ランボを抱く手に力がこもった。
ボヴィーノファミリーは、財力も兵力も勢力もボンゴレファミリーとは比べものにならない中小マフィアだ。
そんなマフィアが、ボンゴレ相手に殺し屋を送り込むだろうか――結果は目に見えているだろうに。
不思議そうな表情でこちらを見つめるランボに、肝心の質問をぶつけてみる。
「貴方の目的は?」
「リボーンを倒すこと!!」
「え?」
予想外の返答に、思わず素で返してしまった。
リボーンを倒す。
そう言った、しかも堂々と。
ファミリーからそんな任務を受けるとは、遠回しに破門を命じられているのと同義ではないだろうか。
ランボの反応が嘘を吐いているように見えないので、つい初対面の子供を心配してしまった。
ともかく、標的が綱吉でないのなら、私が手を出す必要はない。
万が一にもリボーンがこの子供に遅れを取るとは思えないし、放置して問題ないだろう。
「そう。邪魔して悪かったわね。頑張って」
ランボを地面に下ろしてそう告げると、彼は嬉しそうに顔を綻ばせて頷いた。
碌な未来が想像できないが、私の知ったことではない。
どうせリボーンは格下を相手にしないし、別に報告しなくてもいいだろう。
ランボをその場に残して自分の部屋に戻り、再びパソコンを開いた。
今日はリボーンがつきっきりで綱吉に勉強を教えるというので、私は報告書作成に専念していた。
最近の綱吉の様子や周囲の人間関係をまとめていると、隣の部屋から爆発音と衝撃が響いた。
ただし敵襲でも何でもなく、綱吉が問題を間違えるたびに、リボーンが爆弾を作動させているだけである。
ややバイオレンスな指導方法だが、何故かママンは『ツナの指導に必要だ』というリボーンの言葉を鵜呑みにして特に疑問を持っていないらしい。
さすが、赤ん坊の家庭教師を許容するだけはある。
息子がああも常識人になったのは、母親の反面教師だろうか――と考えたところで、キーボードを叩く手を止めた。
沢田家の傍で怪しげな動きをする気配を感じ取ったのだ。
注意深く気配を探ると、不審者は四、五歳くらいの子供だと判明した。
リボーンや私をはじめ子供の殺し屋は多く存在するので特に偏見はないものの、今回の侵入者はどうも刺客らしくない。
というのも、気配の消し方から身のこなしまで素人同然なのだ。
気配を消すどころか、見つからないようにしようとする努力そのものが感じられない。
むしろ近所の子供が迷い込んで来たと判断する方が自然かもしれない。
とはいえ、勿論それが敵の油断を誘うための罠であるという線も充分考えられる。
パソコンを閉じて、外から見えないように注意しながら窓の近くに移動する。
すると、すぐに覚束ない動きで塀の外の木によじ登る牛柄タイツの子供を発見できた。
こうして目視すると、動きが殺し屋のものとは到底思えない――演技だとしたら素晴らしい才能だ。
綱吉に向けられた殺し屋なら雇用主のことを知りたいので、殺すのではなく捕らえて尋問することに決めた。
窓から飛び降り、幹の中央にしがみつく子供を引きはがして地面に降り立つ。
逃げられないよう腕の中に閉じ込めてみても、本人は状況が呑み込めていないのか、呆然と私の顔を凝視して抵抗する様子を見せない。
彼が囮という可能性も考慮し、周囲の気配に注意しながら尋問を開始した。
「貴方、名前は?」
「オレっち? ランボだよ!」
意外にもすんなり答えたので、拍子抜けしてしまう。
本当に近所の子供に話しかけている気分だ。
実際に話したことは一度もないが。
「何処のファミリーなの?」
「ボヴィーノファミリー」
その言葉に、子供――ランボを抱く手に力がこもった。
ボヴィーノファミリーは、財力も兵力も勢力もボンゴレファミリーとは比べものにならない中小マフィアだ。
そんなマフィアが、ボンゴレ相手に殺し屋を送り込むだろうか――結果は目に見えているだろうに。
不思議そうな表情でこちらを見つめるランボに、肝心の質問をぶつけてみる。
「貴方の目的は?」
「リボーンを倒すこと!!」
「え?」
予想外の返答に、思わず素で返してしまった。
リボーンを倒す。
そう言った、しかも堂々と。
ファミリーからそんな任務を受けるとは、遠回しに破門を命じられているのと同義ではないだろうか。
ランボの反応が嘘を吐いているように見えないので、つい初対面の子供を心配してしまった。
ともかく、標的が綱吉でないのなら、私が手を出す必要はない。
万が一にもリボーンがこの子供に遅れを取るとは思えないし、放置して問題ないだろう。
「そう。邪魔して悪かったわね。頑張って」
ランボを地面に下ろしてそう告げると、彼は嬉しそうに顔を綻ばせて頷いた。
碌な未来が想像できないが、私の知ったことではない。
どうせリボーンは格下を相手にしないし、別に報告しなくてもいいだろう。
ランボをその場に残して自分の部屋に戻り、再びパソコンを開いた。