標的7 両極端な見解の一致
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《視点:×××× 場所:トーロファミリーアジト前》
これは、宮野アゲハが沢田綱吉の護衛として来日する数年前の出来事である。
アゲハがボンゴレファミリーに加入して間もない頃で、世界的にはまだ無名の少女だった時代だ。
しかし、無名ではあっても、その実力はすでに“世界最強”と形容されるのに遜色ないレベルであった。
世界が認知していなくても、宮野アゲハは兵器として人類を支配できるだけの実力を備えていた。
名声と実力が最も釣り合っていなかった時期である。
その乖離が大きな歪みとして現れたのが、アゲハにとって初めての単独任務であるトーロファミリーの殲滅任務だった。
トーロファミリーとは、短期間で急速に勢力を拡大した新興マフィアとして当時は多少名が知れていた。
ただ、新興で組織規模はボンゴレよりもはるかに劣るとはいえ、本来であれば少女一人に到底殲滅できるものではない。
それでも白羽の矢が立ったのは、おそらくボンゴレ内部にアゲハの異常性に気づいている者がいたのだろう。
アゲハの実力を推し測るために敢えて指名したのかもしれない。
そんな誰かの計略など気にも留めず、幼いアゲハはトーロファミリーのアジトに到着した。
ボンゴレ本部よりも小規模だが重厚感のある屋敷が、豪奢な装飾を施された門扉の向こうに見える。
夜間ということもあり静寂に包まれているが、実は建物の中では侵入者を迎撃する体制が万全に整えられていた。
強引な手法で組織を拡大していたトーロファミリーは、仮想敵への対策に鋭敏であった。
アゲハは常識外れの索敵能力でそれを屋敷の外から察知すると、ふう、と憂いを帯びたため息を漏らした。
しかし、アゲハが見せた反応はそれだけだった。
彼女は軽やかに跳躍し、二メートルを超える門を飛び越えながら呟いた。
「――“疾風迅雷”」
その瞬間、トーロファミリーのアジトは消し飛んだ。
数秒前まで荘厳な屋敷が建っていた場所は、建物の基礎部分だけが残る荒れ地に変貌した。
金属製の門は紙屑のように丸められて隅に転がっている。
目を疑うような光景の中、宮野アゲハは平然と佇んでいた。
辺りに舞う砂埃の所為で多少スーツに汚れは付着しているものの、本人に怪我は全く見られない。
彼女は悠然と辺りを見渡し、トーロファミリーの構成員が一人残らず屋敷とともに消失したことを確認すると、携帯電話で任務完了の連絡をとった。
その声色や仕草には高揚感も動揺も感じられない。
アゲハにとっては、ただ単に与えられた仕事を最速でこなしただけの認識なのである。
ひとつのファミリーを五分も経たずに全壊させたことを世間がどう感じるか、まるで自覚していない。
現地の惨状の報告を受けたボンゴレ本部が上を下への大騒ぎとなっているのも知らない。
結局この事件をきっかけに世界どころか味方からも危険視される存在となり一時期は幽閉されてしまうことになるのだが、そういった処遇を受けてもアゲハが自身の異常性を正しく把握したかどうかは怪しい。
自分と周囲に対する関心の常軌を逸した希薄さ――それが事件の本質だと後に有識者は語る。
これは、宮野アゲハが沢田綱吉の護衛として来日する数年前の出来事である。
アゲハがボンゴレファミリーに加入して間もない頃で、世界的にはまだ無名の少女だった時代だ。
しかし、無名ではあっても、その実力はすでに“世界最強”と形容されるのに遜色ないレベルであった。
世界が認知していなくても、宮野アゲハは兵器として人類を支配できるだけの実力を備えていた。
名声と実力が最も釣り合っていなかった時期である。
その乖離が大きな歪みとして現れたのが、アゲハにとって初めての単独任務であるトーロファミリーの殲滅任務だった。
トーロファミリーとは、短期間で急速に勢力を拡大した新興マフィアとして当時は多少名が知れていた。
ただ、新興で組織規模はボンゴレよりもはるかに劣るとはいえ、本来であれば少女一人に到底殲滅できるものではない。
それでも白羽の矢が立ったのは、おそらくボンゴレ内部にアゲハの異常性に気づいている者がいたのだろう。
アゲハの実力を推し測るために敢えて指名したのかもしれない。
そんな誰かの計略など気にも留めず、幼いアゲハはトーロファミリーのアジトに到着した。
ボンゴレ本部よりも小規模だが重厚感のある屋敷が、豪奢な装飾を施された門扉の向こうに見える。
夜間ということもあり静寂に包まれているが、実は建物の中では侵入者を迎撃する体制が万全に整えられていた。
強引な手法で組織を拡大していたトーロファミリーは、仮想敵への対策に鋭敏であった。
アゲハは常識外れの索敵能力でそれを屋敷の外から察知すると、ふう、と憂いを帯びたため息を漏らした。
しかし、アゲハが見せた反応はそれだけだった。
彼女は軽やかに跳躍し、二メートルを超える門を飛び越えながら呟いた。
「――“疾風迅雷”」
その瞬間、トーロファミリーのアジトは消し飛んだ。
数秒前まで荘厳な屋敷が建っていた場所は、建物の基礎部分だけが残る荒れ地に変貌した。
金属製の門は紙屑のように丸められて隅に転がっている。
目を疑うような光景の中、宮野アゲハは平然と佇んでいた。
辺りに舞う砂埃の所為で多少スーツに汚れは付着しているものの、本人に怪我は全く見られない。
彼女は悠然と辺りを見渡し、トーロファミリーの構成員が一人残らず屋敷とともに消失したことを確認すると、携帯電話で任務完了の連絡をとった。
その声色や仕草には高揚感も動揺も感じられない。
アゲハにとっては、ただ単に与えられた仕事を最速でこなしただけの認識なのである。
ひとつのファミリーを五分も経たずに全壊させたことを世間がどう感じるか、まるで自覚していない。
現地の惨状の報告を受けたボンゴレ本部が上を下への大騒ぎとなっているのも知らない。
結局この事件をきっかけに世界どころか味方からも危険視される存在となり一時期は幽閉されてしまうことになるのだが、そういった処遇を受けてもアゲハが自身の異常性を正しく把握したかどうかは怪しい。
自分と周囲に対する関心の常軌を逸した希薄さ――それが事件の本質だと後に有識者は語る。
