標的6 誰も知らない舞台裏
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《視点:宮野アゲハ 場所:並盛中学校空き教室》
遠くで人の気配がする他に、この教室に音はない。
携帯電話の通話ボタンを押し、先ほど休み時間になるのを見計らったように掛かってきた電話を繋いだ。
「……何よ」
≪十代目はお元気か?≫
――第一声がそれか。
思わずため息が零れた。
「ならその十代目に直接連絡しなさいよ。番号は知っているでしょ」
≪ばっ……、十代目はお忙しいだろうが! そんな気軽に電話できるか!!≫
私の方が絶対に忙しいと思う。
そもそも、何故綱吉に遠慮して私には気軽に連絡できるのか。
自分で言うのも何だが、普通逆じゃないか?
そう言い返したい気持ちを抑え、電話の相手――獄寺隼人の様子を窺う。
電話越しの彼も相変わらず元気そうだ。
先日からダイナマイトの仕入れを理由に学校を休んでいるが、綱吉は獄寺を心配するどころか、彼の不在を『平和な日々が訪れた』と喜んでいる――さすがにこの事実を獄寺本人に伝える気はない。
「大体、私が護衛しているのに、ツナに何かあると思っているの?」
≪うっ……。まあ、確かにそうか……≫
昨日火炎放射器で襲われていたが、折角納得してくれたので黙っておく。
結局要件は綱吉の安否確認だけという事実に脱力し、近くにあった机の上に腰を下ろす。
空き教室と言っても全く使われていないわけではないようで、埃は溜まっていない。
「突然連絡してくるから、重要な話かと思ったじゃない。この程度なら場所を変えるまでもなかったわね」
≪は? お前今何処にいるんだよ≫
「学校の空き教室よ」
≪……じゃあ、周りに誰もいないのか?≫
「ええ――何よ、大事な話?」
そう訊くと、獄寺は沈黙した。
否定しないということは、話があるのは間違いないのか。
言いにくい話だろうか。
暫く待っていると、獄寺が覚悟を決めたように息を吐き出した。
≪あー、ならよ、ひとつ訊きたいことが――≫
「あ、ちょっと待って」
≪はあ!?≫
「ごめんなさい。けれど周りがやけに騒がしいのよ」
ちょうど綱吉の教室の方から、という言葉は飲み込んだ。
電話中であれ綱吉に危険があれば察知できるので、少なくとも私が動くほどの事態ではないはずだ。
けれど、いくら休み時間とは言え、生徒の騒ぎ声と周囲の慌ただしさが尋常ではない。
確実に、何か異常事態が起こっている。
「一旦切るわ。話はまた後にして」
≪おい待て! 十代目に何かあったのか!?≫
「多分大丈夫よ。緊急ならとっくにリボーンから連絡が入っているはずだから。少し確認してくるわ」
通話を切ると、机から降りて廊下を覗き込んだ。
綱吉の教室はこの空き教室と同じ階なので、ここからでも容易に現状を把握できる。
すると、険しい顔をしたクラスメイト達が雪崩のように教室から出てきた。
しかも、全員が先を急ぐように階段を上っていく。
最後の一人が見えなくなってから、こっそり廊下に出た。
まず気になったのは、あの群衆の中に綱吉の姿がなかったことだ。
集中して気配を探ると、教室に一人分の気配がある――これが綱吉でほぼ間違いない。
もう一つ気になるのは、多数の人の気配が屋上に集中していることだ。
屋上で何かあったのか。
何かあったとして、何故綱吉だけが教室に残っているのか。
ともかく教室に向かおうとした時、真っ青な顔をした綱吉がふらりと現れた。
遠くで人の気配がする他に、この教室に音はない。
携帯電話の通話ボタンを押し、先ほど休み時間になるのを見計らったように掛かってきた電話を繋いだ。
「……何よ」
≪十代目はお元気か?≫
――第一声がそれか。
思わずため息が零れた。
「ならその十代目に直接連絡しなさいよ。番号は知っているでしょ」
≪ばっ……、十代目はお忙しいだろうが! そんな気軽に電話できるか!!≫
私の方が絶対に忙しいと思う。
そもそも、何故綱吉に遠慮して私には気軽に連絡できるのか。
自分で言うのも何だが、普通逆じゃないか?
そう言い返したい気持ちを抑え、電話の相手――獄寺隼人の様子を窺う。
電話越しの彼も相変わらず元気そうだ。
先日からダイナマイトの仕入れを理由に学校を休んでいるが、綱吉は獄寺を心配するどころか、彼の不在を『平和な日々が訪れた』と喜んでいる――さすがにこの事実を獄寺本人に伝える気はない。
「大体、私が護衛しているのに、ツナに何かあると思っているの?」
≪うっ……。まあ、確かにそうか……≫
昨日火炎放射器で襲われていたが、折角納得してくれたので黙っておく。
結局要件は綱吉の安否確認だけという事実に脱力し、近くにあった机の上に腰を下ろす。
空き教室と言っても全く使われていないわけではないようで、埃は溜まっていない。
「突然連絡してくるから、重要な話かと思ったじゃない。この程度なら場所を変えるまでもなかったわね」
≪は? お前今何処にいるんだよ≫
「学校の空き教室よ」
≪……じゃあ、周りに誰もいないのか?≫
「ええ――何よ、大事な話?」
そう訊くと、獄寺は沈黙した。
否定しないということは、話があるのは間違いないのか。
言いにくい話だろうか。
暫く待っていると、獄寺が覚悟を決めたように息を吐き出した。
≪あー、ならよ、ひとつ訊きたいことが――≫
「あ、ちょっと待って」
≪はあ!?≫
「ごめんなさい。けれど周りがやけに騒がしいのよ」
ちょうど綱吉の教室の方から、という言葉は飲み込んだ。
電話中であれ綱吉に危険があれば察知できるので、少なくとも私が動くほどの事態ではないはずだ。
けれど、いくら休み時間とは言え、生徒の騒ぎ声と周囲の慌ただしさが尋常ではない。
確実に、何か異常事態が起こっている。
「一旦切るわ。話はまた後にして」
≪おい待て! 十代目に何かあったのか!?≫
「多分大丈夫よ。緊急ならとっくにリボーンから連絡が入っているはずだから。少し確認してくるわ」
通話を切ると、机から降りて廊下を覗き込んだ。
綱吉の教室はこの空き教室と同じ階なので、ここからでも容易に現状を把握できる。
すると、険しい顔をしたクラスメイト達が雪崩のように教室から出てきた。
しかも、全員が先を急ぐように階段を上っていく。
最後の一人が見えなくなってから、こっそり廊下に出た。
まず気になったのは、あの群衆の中に綱吉の姿がなかったことだ。
集中して気配を探ると、教室に一人分の気配がある――これが綱吉でほぼ間違いない。
もう一つ気になるのは、多数の人の気配が屋上に集中していることだ。
屋上で何かあったのか。
何かあったとして、何故綱吉だけが教室に残っているのか。
ともかく教室に向かおうとした時、真っ青な顔をした綱吉がふらりと現れた。