標的4 時と場合による既視感
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《視点:沢田綱吉 場所:並盛中学校1年A組教室》
この日、宮野アゲハに続いて二人目の転入生がやって来た。
獄寺隼人というその少年はいかにも不良というような風貌で、担任の紹介の間ずっと前方を睨みつけていた。
先生曰く、彼はイタリアからの留学生らしい。
イタリアというと、リボーンやアゲハの故郷と同じだ。
なんとなく隣の席を盗み見ると、アゲハは無表情で転入生を観察している。
リボーンの表情の変化は分かるようになったが、アゲハに関してはこういう時何を考えているのか未だによく分からない。
異国の地で、同郷の奴に何を感じているかなんて――
「ちょ……かっこよくない~?」
背後で聞こえたそんな声に、思わず思考を中断した。
耳を澄ませると、教室の至るところから『かっこいい』という女子の声が聞こえる。
俺はよく分からないけど、女子はああいうのがいいんだろうか。
「はっ! 京子ちゃん!」
焦って京子ちゃんを振り向くと、何処となく嬉しそうな笑顔で転入生を眺めている。
京子ちゃんもああいうのがタイプなのかもしれない、と思うと更に気落ちした。
さっきからアゲハに訝しげな目線を送られているが、ショックでそれどころではない。
――そういえば、アゲハのタイプって想像できないな。
もう一度アゲハを一瞥すると、ばっちりと目が合った。
「何?」
「あ、いや……アゲハの好きなタイプってどんな人かなーって」
「タイプ? ボンゴレに有益な人かしら」
「何か違う! そういう意味じゃなくて、アゲハにとっていいなって思う人のことで……」
「じゃあ私に有益な人」
駄目だこいつ。
言い方を変えても、冷めた視線は相変わらずだ。
そういえば、アゲハにはタイプどころか恋愛のイメージすらない。
ショックを紛らわすためとは言え、話を振る相手を完全に間違えた。
すると、アゲハはぽつりと呟いた。
「そう? あながち間違いではないと思うけれど」
「え?」
「あ」
「へ?」
その言葉の意味を理解できずに聞き返すも、アゲハが教壇を向いて声を上げたため強制的に中断させられた。
つられて前に向き直ると、何故か転入生が鋭い眼光で俺を睨みつけていて、思わず青ざめてしまう。
しかし、それだけならまだ良かったかもしれない。
目が合うと、あろうことか俺の方に直進してきたのだ。
「獄寺君の席はあそこの……獄寺君?」
先生の呼び掛けにも応えず、ずんずんと距離を詰められる。
そして俺の席まで辿り着くと――
俺の机を蹴り上げた。
「でっ!」
予想外の展開と突然の衝撃に情けない声が漏れたが、それを気に掛けられる精神状態ではない。
何なんだ一体!!
結局一言も発することなく自分の席に向かう彼を呆然と見つめていると、近くの席のクラスメイトが声を潜めて質問した。
「ツナの知り合いか?」
「知らないよ!」
いきなりがんを飛ばされる理由も、机を蹴り飛ばされる意味も分からない。
そんなもの、こっちが訊きたいくらいだ。
まさかアゲハと話していたからか?
いや、さすがにそれはないか、と頭を振った。
俺が転入生を知らないように、日本に来たばかりのアゲハだって彼を知らないはずだ。
そう考えていた俺は、隣でアゲハがもの言いたげな視線を向けていることには気づかなかった。
この日、宮野アゲハに続いて二人目の転入生がやって来た。
獄寺隼人というその少年はいかにも不良というような風貌で、担任の紹介の間ずっと前方を睨みつけていた。
先生曰く、彼はイタリアからの留学生らしい。
イタリアというと、リボーンやアゲハの故郷と同じだ。
なんとなく隣の席を盗み見ると、アゲハは無表情で転入生を観察している。
リボーンの表情の変化は分かるようになったが、アゲハに関してはこういう時何を考えているのか未だによく分からない。
異国の地で、同郷の奴に何を感じているかなんて――
「ちょ……かっこよくない~?」
背後で聞こえたそんな声に、思わず思考を中断した。
耳を澄ませると、教室の至るところから『かっこいい』という女子の声が聞こえる。
俺はよく分からないけど、女子はああいうのがいいんだろうか。
「はっ! 京子ちゃん!」
焦って京子ちゃんを振り向くと、何処となく嬉しそうな笑顔で転入生を眺めている。
京子ちゃんもああいうのがタイプなのかもしれない、と思うと更に気落ちした。
さっきからアゲハに訝しげな目線を送られているが、ショックでそれどころではない。
――そういえば、アゲハのタイプって想像できないな。
もう一度アゲハを一瞥すると、ばっちりと目が合った。
「何?」
「あ、いや……アゲハの好きなタイプってどんな人かなーって」
「タイプ? ボンゴレに有益な人かしら」
「何か違う! そういう意味じゃなくて、アゲハにとっていいなって思う人のことで……」
「じゃあ私に有益な人」
駄目だこいつ。
言い方を変えても、冷めた視線は相変わらずだ。
そういえば、アゲハにはタイプどころか恋愛のイメージすらない。
ショックを紛らわすためとは言え、話を振る相手を完全に間違えた。
すると、アゲハはぽつりと呟いた。
「そう? あながち間違いではないと思うけれど」
「え?」
「あ」
「へ?」
その言葉の意味を理解できずに聞き返すも、アゲハが教壇を向いて声を上げたため強制的に中断させられた。
つられて前に向き直ると、何故か転入生が鋭い眼光で俺を睨みつけていて、思わず青ざめてしまう。
しかし、それだけならまだ良かったかもしれない。
目が合うと、あろうことか俺の方に直進してきたのだ。
「獄寺君の席はあそこの……獄寺君?」
先生の呼び掛けにも応えず、ずんずんと距離を詰められる。
そして俺の席まで辿り着くと――
俺の机を蹴り上げた。
「でっ!」
予想外の展開と突然の衝撃に情けない声が漏れたが、それを気に掛けられる精神状態ではない。
何なんだ一体!!
結局一言も発することなく自分の席に向かう彼を呆然と見つめていると、近くの席のクラスメイトが声を潜めて質問した。
「ツナの知り合いか?」
「知らないよ!」
いきなりがんを飛ばされる理由も、机を蹴り飛ばされる意味も分からない。
そんなもの、こっちが訊きたいくらいだ。
まさかアゲハと話していたからか?
いや、さすがにそれはないか、と頭を振った。
俺が転入生を知らないように、日本に来たばかりのアゲハだって彼を知らないはずだ。
そう考えていた俺は、隣でアゲハがもの言いたげな視線を向けていることには気づかなかった。