標的4 時と場合による既視感
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《視点:宮野アゲハ 場所:並盛中学校体育館付近》
獄寺隼人。
またの名を、スモーキン・ボム隼人。
体の至るところにダイナマイトを隠し持った人間爆撃機。
彼こそが、今回ボンゴレファミリーにスカウトされた人物である。
「お前が“ボンゴレの姫 ”か」
値踏みするような無遠慮な視線が刺さる。
実は彼とは前に会ったことがあるのだが、この反応を見る限り覚えてないのだろう。
とはいえ、当時はろくに会話しなかったので、それは一向に構わない。
「ええ、私が宮野アゲハよ。初めまして。獄寺隼人」
「はっ……?」
私の台詞に獄寺は目を剥いた。
その反応に首を傾げる。
今日私と顔を合わせることは、あらかじめ電話で打ち合わせていたはずだ。
何を驚くことがあるのだろうか。
「……? 貴方、獄寺隼人でしょう?」
「あ、ああ」
人違いかと焦ったが、どうもそういうことではないようだ。
では先ほどの反応は何だったんだ。
「……で、どうだった? ボンゴレ十代目は」
不審な反応はひとまず置いてそう訊くと、獄寺は眉を顰め舌打ちした。
どうやらお気に召さなかったようだ。
獄寺は黙って体育館に目を向ける。
私の位置からは中の様子を確認できないが、聞こえるブーイングや獄寺の反応から綱吉のプレーが散々だと察した。
獄寺は綱吉に目を向けたまま、独り言のように呟いた。
「……あれが本当にボンゴレファミリーのボスになる男なのか?」
「不満そうね」
「そりゃあな」
まあ、気持ちは分かる。
獄寺がファミリーにスカウトされリボーンに来日を要請された際、並盛中に転入する前に一度ボンゴレ十代目の普段の様子を観察したいと要望された。
リボーンが了承したためこうして私が仲介することになったのだが、死ぬ気状態でない綱吉の姿を見て、マフィアのボスに相応しいと感じる人間はいないだろう。
予想してはいたが、それでは困るのだ。
綱吉をボンゴレ十代目と認めてくれなくては。
「なら試してみる?」
「は?」
獄寺が驚いたように私に目を向ける。
「実際に戦って、その目で実力を測ってみるといいわ」
「……いいのかよ?」
「ええ。その方が手っ取り早い」
獄寺は戸惑ったような目で私を凝視している。
私の意図を、あるいは私達の目的を図りかねているのだろう。
互いに沈黙していると、ちょうど体育館から試合終了のホイッスルが聞こえた。
リボーンから一度も連絡がなかったので、結局第一セットでは死ぬ気弾を使わなかったようだ。
私もそろそろ京子達のもとへ戻らなければ不審に思われるだろう。
綱吉との対決は獄寺が転入する明日と定め、適当に理由をつけて体育館へ踵を返した。
「そんなに言うほどあいつを買ってんのか」
立ち去る直前、背後でそんな呟きが聞こえたが、黙って聞き流した。
綱吉の実力を買っているわけでも認めているわけでもない。
この数日彼の近くにいたが、尊敬すべき点は何一つ見当たらなかった。
いずれ上司となるかもしれない相手に酷い言い草だと自分でも思うが、これは事実だ。
だが、それでも。
獄寺は必ず綱吉を認めることになる。
何故かそう確信できるのだ。
獄寺隼人。
またの名を、スモーキン・ボム隼人。
体の至るところにダイナマイトを隠し持った人間爆撃機。
彼こそが、今回ボンゴレファミリーにスカウトされた人物である。
「お前が“
値踏みするような無遠慮な視線が刺さる。
実は彼とは前に会ったことがあるのだが、この反応を見る限り覚えてないのだろう。
とはいえ、当時はろくに会話しなかったので、それは一向に構わない。
「ええ、私が宮野アゲハよ。初めまして。獄寺隼人」
「はっ……?」
私の台詞に獄寺は目を剥いた。
その反応に首を傾げる。
今日私と顔を合わせることは、あらかじめ電話で打ち合わせていたはずだ。
何を驚くことがあるのだろうか。
「……? 貴方、獄寺隼人でしょう?」
「あ、ああ」
人違いかと焦ったが、どうもそういうことではないようだ。
では先ほどの反応は何だったんだ。
「……で、どうだった? ボンゴレ十代目は」
不審な反応はひとまず置いてそう訊くと、獄寺は眉を顰め舌打ちした。
どうやらお気に召さなかったようだ。
獄寺は黙って体育館に目を向ける。
私の位置からは中の様子を確認できないが、聞こえるブーイングや獄寺の反応から綱吉のプレーが散々だと察した。
獄寺は綱吉に目を向けたまま、独り言のように呟いた。
「……あれが本当にボンゴレファミリーのボスになる男なのか?」
「不満そうね」
「そりゃあな」
まあ、気持ちは分かる。
獄寺がファミリーにスカウトされリボーンに来日を要請された際、並盛中に転入する前に一度ボンゴレ十代目の普段の様子を観察したいと要望された。
リボーンが了承したためこうして私が仲介することになったのだが、死ぬ気状態でない綱吉の姿を見て、マフィアのボスに相応しいと感じる人間はいないだろう。
予想してはいたが、それでは困るのだ。
綱吉をボンゴレ十代目と認めてくれなくては。
「なら試してみる?」
「は?」
獄寺が驚いたように私に目を向ける。
「実際に戦って、その目で実力を測ってみるといいわ」
「……いいのかよ?」
「ええ。その方が手っ取り早い」
獄寺は戸惑ったような目で私を凝視している。
私の意図を、あるいは私達の目的を図りかねているのだろう。
互いに沈黙していると、ちょうど体育館から試合終了のホイッスルが聞こえた。
リボーンから一度も連絡がなかったので、結局第一セットでは死ぬ気弾を使わなかったようだ。
私もそろそろ京子達のもとへ戻らなければ不審に思われるだろう。
綱吉との対決は獄寺が転入する明日と定め、適当に理由をつけて体育館へ踵を返した。
「そんなに言うほどあいつを買ってんのか」
立ち去る直前、背後でそんな呟きが聞こえたが、黙って聞き流した。
綱吉の実力を買っているわけでも認めているわけでもない。
この数日彼の近くにいたが、尊敬すべき点は何一つ見当たらなかった。
いずれ上司となるかもしれない相手に酷い言い草だと自分でも思うが、これは事実だ。
だが、それでも。
獄寺は必ず綱吉を認めることになる。
何故かそう確信できるのだ。