標的3 夢のなかの夢の話
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
《視点:宮野アゲハ 場所:同体育館》
持田剣介という男は、どうやら生徒達からよほど疎まれていたようだ。
剣道の試合で彼を負かしたことで綱吉の株が跳ね上がっていることを、体育館中の派手な応援によって窺い知った。
会場は綱吉の活躍を期待する声援で溢れ、綱吉の名前が入った横断幕まで掲げられているのが見える。
もはや、体育館にいる生徒全員が綱吉の応援をしていると言っても過言ではないだろう。
彼自身もさすがにここまで期待されているとは想像していなかったようで、私の隣で体を強張らせている。
「持田先輩って、長年この学校を支配していた魔王か何かなの?」
「何それ……知らないよ」
心なしか突っ込みも弱々しい。
訊いてから思い至ったが、この学校を支配する魔王は、持田剣介ではなくどう考えてもあの風紀委員長だ。
しかも、その統治は彼の卒業まで揺らぎそうにない。
綱吉が彼の独裁を塗り替えるとしたら面白そうだし、もしかしたら今後リボーンが画策するかもしれないが。
それはともかく、持田剣介が嫌われ者でないとすると、ますますこの盛り上がりの理由が理解できない。
学校とは、実に複雑怪奇な場所だ。
ふと見上げると、リボーンが二階から綱吉の様子を観察している姿を確認した。
拳銃を構えていないところを見ると、やはり今のところ死ぬ気弾を撃つ気はないらしい。
目が合うと、彼は携帯電話を確認する仕草を示した。
ポケットから自分の携帯を覗くと、リボーンから一通のメールが届いていた。
人混みから外れてこっそり内容を確認すると、短くこう書いてあった。
『外に来てるぞ』
――了解。
心中で呟いた後、観戦場所を探している京子の肩を軽く叩いた。
「私、ちょっとお手洗いに行って来るわ」
「え? もう試合始まっちゃうよ」
「すぐ戻るわ。先に二人で観ていて」
怪訝な顔で振り返る京子と花を残し、体育館を出た。
すると、体育館の扉に寄り掛かり、煙草を吹かしながら中の様子を覗く男がいた。
男は私の存在に気づくと、翡翠色の瞳を値踏みするように細めた。
「――お前が“ボンゴレの姫 ”か」
彼の名は獄寺隼人。
今後登場する敵と戦う仲間になる男である。
(標的3 了)
持田剣介という男は、どうやら生徒達からよほど疎まれていたようだ。
剣道の試合で彼を負かしたことで綱吉の株が跳ね上がっていることを、体育館中の派手な応援によって窺い知った。
会場は綱吉の活躍を期待する声援で溢れ、綱吉の名前が入った横断幕まで掲げられているのが見える。
もはや、体育館にいる生徒全員が綱吉の応援をしていると言っても過言ではないだろう。
彼自身もさすがにここまで期待されているとは想像していなかったようで、私の隣で体を強張らせている。
「持田先輩って、長年この学校を支配していた魔王か何かなの?」
「何それ……知らないよ」
心なしか突っ込みも弱々しい。
訊いてから思い至ったが、この学校を支配する魔王は、持田剣介ではなくどう考えてもあの風紀委員長だ。
しかも、その統治は彼の卒業まで揺らぎそうにない。
綱吉が彼の独裁を塗り替えるとしたら面白そうだし、もしかしたら今後リボーンが画策するかもしれないが。
それはともかく、持田剣介が嫌われ者でないとすると、ますますこの盛り上がりの理由が理解できない。
学校とは、実に複雑怪奇な場所だ。
ふと見上げると、リボーンが二階から綱吉の様子を観察している姿を確認した。
拳銃を構えていないところを見ると、やはり今のところ死ぬ気弾を撃つ気はないらしい。
目が合うと、彼は携帯電話を確認する仕草を示した。
ポケットから自分の携帯を覗くと、リボーンから一通のメールが届いていた。
人混みから外れてこっそり内容を確認すると、短くこう書いてあった。
『外に来てるぞ』
――了解。
心中で呟いた後、観戦場所を探している京子の肩を軽く叩いた。
「私、ちょっとお手洗いに行って来るわ」
「え? もう試合始まっちゃうよ」
「すぐ戻るわ。先に二人で観ていて」
怪訝な顔で振り返る京子と花を残し、体育館を出た。
すると、体育館の扉に寄り掛かり、煙草を吹かしながら中の様子を覗く男がいた。
男は私の存在に気づくと、翡翠色の瞳を値踏みするように細めた。
「――お前が“
彼の名は獄寺隼人。
今後登場する敵と戦う仲間になる男である。
(標的3 了)