標的3 夢のなかの夢の話
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《視点:宮野アゲハ 場所:並盛中学校1年A組教室》
至極どうでもいいことだが、今日は球技大会という行事があるそうだ。
興味がないという点では運動神経皆無の綱吉も同じだと認識していたのだが、彼は欠けたメンバーの代打でバレーに参加するらしい。
頼んだ奴は何を血迷ったのだろう。
綱吉は死ぬ気弾さえあれば何とかなると思って安請け合いしたようだが、あれはそれほど便利な道具ではない。
死ぬ気弾は被弾した際、後悔がなければ復活しない――つまり、死ぬのだ。
告白や剣道勝負の時は復活できたが、先ほど意気揚々と教室を出て行った綱吉に、あの時のような後悔があるとは思えない。
一応死ぬ気弾にも裏技があるのだが、綱吉の成長が目的である以上、リボーンは簡単に教えないだろう。
つまり、綱吉は死ぬ気弾なしで試合をしなければならないのだが――まあ頑張れとしか言いようがない。
私の役目は、それを知った綱吉が試合前に逃げ出すのを防ぐことだ。
そろそろ綱吉の後を追おうと席を立ったのと同時に、背後から聞き覚えのない声で呼び止められた。
「ねえ、宮野さん」
振り向くと、見覚えのない黒髪の少女の隣に見覚えのある人物が立っていた。
笹川京子。
綱吉の想い人だ。
自分に視線が向いたのに気がつくと、京子はびくりと肩を震わせた。
「何か用?」
声を掛けたのは黒髪の少女のようだが、私に苦手意識を持つ京子まで現れるとは、よほど重要な用事なのだろう。
場合によっては綱吉の元に向かえないかもしれないと身構えていると、黒髪の少女はまず自分と京子の名前を告げた。
彼女の名は黒川花というらしい。
そういえばクラスメイトだ。
二人は友達なのだろうか、とぼんやり考えていると、花が予想外の提案をしてきた。
「宮野さん。沢田の試合、良かったら私達と一緒に観戦しない?」
宮野さんも観に行くんでしょ、と訊かれたので、思わず曖昧に頷いた。
しかし、正直に言うと、綱吉の試合はどうでもいいのだ。
彼の監視があるので無関心ではないものの、そもそも今日は他にも予定が入っているので忙しい。
たとえ会場に行ったとしても、時間の都合上途中までしか観戦できないだろう。
それに一番の懸念材料は、私の反応を恐る恐る窺っている“彼女”――笹川京子である。
繰り返すが、私は彼女に二度も目を逸らされるほど嫌われている。
そんな京子の心情を鑑みれば、ここは断った方がいいはずだ。
脳内でそう結論が出た時、花が京子に対して意味ありげな目線を送った。
「京子が、貴女と是非仲良くなりたいんだってさ」
「は、花っ!!」
焦ったように声を荒げる京子を思わず見入ってしまう。
苦手な奴とも仲良くなる努力を惜しまないとは、なかなか殊勝な娘 だ。
綱吉が惚れるのも無理はない。
そう考えて、ふとある提案が浮かんだ。
綱吉は京子に惚れている。
ならば、私が直接殴り込むより、彼女と会わせた方が抑止力として有効かもしれない。
我ながらいい案を思いついたものだ。
とはいえ、実行するには、まず京子に確認を取らなければならない。
「あ、あのっ、花の言ったこと――」
「ねえ」
京子が何か言いかけたのを遮ってしまったが、京子は息をのんで私の言葉を待った。
「私と仲良くなりたいって本当?」
え、と京子の口から声が漏れた。
そのまま見つめていると、みるみるうちに彼女の顔が真っ赤に染まっていった。
固まってしまった京子に、更に畳みかけてみた。
「私が一緒にいて邪魔にならない?」
「ならない!」
これは即答だった。
続けて、普段の彼女からは考えられないほどの声量で断言した。
「ならないよ!! 全然!!」
顔を赤くして体を震わせながら、しかしそれは確かな否定だった。
「なら、是非一緒に」
私の返事に、京子は安心したように息を吐いた。
その隣で、良かったね、と花が小さく囁いた。
至極どうでもいいことだが、今日は球技大会という行事があるそうだ。
興味がないという点では運動神経皆無の綱吉も同じだと認識していたのだが、彼は欠けたメンバーの代打でバレーに参加するらしい。
頼んだ奴は何を血迷ったのだろう。
綱吉は死ぬ気弾さえあれば何とかなると思って安請け合いしたようだが、あれはそれほど便利な道具ではない。
死ぬ気弾は被弾した際、後悔がなければ復活しない――つまり、死ぬのだ。
告白や剣道勝負の時は復活できたが、先ほど意気揚々と教室を出て行った綱吉に、あの時のような後悔があるとは思えない。
一応死ぬ気弾にも裏技があるのだが、綱吉の成長が目的である以上、リボーンは簡単に教えないだろう。
つまり、綱吉は死ぬ気弾なしで試合をしなければならないのだが――まあ頑張れとしか言いようがない。
私の役目は、それを知った綱吉が試合前に逃げ出すのを防ぐことだ。
そろそろ綱吉の後を追おうと席を立ったのと同時に、背後から聞き覚えのない声で呼び止められた。
「ねえ、宮野さん」
振り向くと、見覚えのない黒髪の少女の隣に見覚えのある人物が立っていた。
笹川京子。
綱吉の想い人だ。
自分に視線が向いたのに気がつくと、京子はびくりと肩を震わせた。
「何か用?」
声を掛けたのは黒髪の少女のようだが、私に苦手意識を持つ京子まで現れるとは、よほど重要な用事なのだろう。
場合によっては綱吉の元に向かえないかもしれないと身構えていると、黒髪の少女はまず自分と京子の名前を告げた。
彼女の名は黒川花というらしい。
そういえばクラスメイトだ。
二人は友達なのだろうか、とぼんやり考えていると、花が予想外の提案をしてきた。
「宮野さん。沢田の試合、良かったら私達と一緒に観戦しない?」
宮野さんも観に行くんでしょ、と訊かれたので、思わず曖昧に頷いた。
しかし、正直に言うと、綱吉の試合はどうでもいいのだ。
彼の監視があるので無関心ではないものの、そもそも今日は他にも予定が入っているので忙しい。
たとえ会場に行ったとしても、時間の都合上途中までしか観戦できないだろう。
それに一番の懸念材料は、私の反応を恐る恐る窺っている“彼女”――笹川京子である。
繰り返すが、私は彼女に二度も目を逸らされるほど嫌われている。
そんな京子の心情を鑑みれば、ここは断った方がいいはずだ。
脳内でそう結論が出た時、花が京子に対して意味ありげな目線を送った。
「京子が、貴女と是非仲良くなりたいんだってさ」
「は、花っ!!」
焦ったように声を荒げる京子を思わず見入ってしまう。
苦手な奴とも仲良くなる努力を惜しまないとは、なかなか殊勝な
綱吉が惚れるのも無理はない。
そう考えて、ふとある提案が浮かんだ。
綱吉は京子に惚れている。
ならば、私が直接殴り込むより、彼女と会わせた方が抑止力として有効かもしれない。
我ながらいい案を思いついたものだ。
とはいえ、実行するには、まず京子に確認を取らなければならない。
「あ、あのっ、花の言ったこと――」
「ねえ」
京子が何か言いかけたのを遮ってしまったが、京子は息をのんで私の言葉を待った。
「私と仲良くなりたいって本当?」
え、と京子の口から声が漏れた。
そのまま見つめていると、みるみるうちに彼女の顔が真っ赤に染まっていった。
固まってしまった京子に、更に畳みかけてみた。
「私が一緒にいて邪魔にならない?」
「ならない!」
これは即答だった。
続けて、普段の彼女からは考えられないほどの声量で断言した。
「ならないよ!! 全然!!」
顔を赤くして体を震わせながら、しかしそれは確かな否定だった。
「なら、是非一緒に」
私の返事に、京子は安心したように息を吐いた。
その隣で、良かったね、と花が小さく囁いた。