標的2 黒猫が語る風の噂
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《視点:沢田綱吉 場所:沢田家玄関》
一通り話し終えて、黒猫はふうっと一息吐いた。
「ま、そんなところかなぁ? 他にどーしても訊きたいこととかある?」
「えっと……、アゲハってオレの護衛なんだよね」
「……うん。まあ、そうだねぇ」
どこか含みのある言い方だ。
もしかしたら、次に俺の言うことを読み取ったからかもしれない。
「それってやっぱり……ボス候補になったら命を狙われるから、だよね」
これが、アゲハや黒猫に訊きたかったことでもある。
一昨日写真で見せられた、かつてのボス候補の変わり果てた姿。
あれはもしかしたら、未来の俺かもしれないのだ。
次に銃で撃たれ海に沈められ骨にされるのは、俺かもしれないのだ。
その上、俺だけじゃなく、もしも母さんや学校の友達に危害が及ぶかもしれないと思うとぞっとする。
そんな危険な目に遭うくらいなら、俺は地位も名誉もいらない。
ただ平和で平凡な人生が送れればそれでいい。
「半分イエスで、半分ノーかなぁ」
「え?」
「ボス候補になれば君が命を狙われる可能性があるのは間違いない。でも十代目が日本にいると知っているのは、ボクを除けば、ボンゴレファミリーの上層部だけなんだよぉ。だから君がマフィア関連で命を落とす可能性は、君が明日交通事故で死ぬ可能性よりずっと低い。特別心を悩ませる必要はないよーん」
「じゃあアゲハは……」
「念には念を入れってことじゃない? あとは今のうちにアゲハちゃんと仲良くなってもらおうって思惑もあるかな。君は将来アゲハちゃんの上司になるわけだしねぇ」
「そう……なのか」
「そうだねぇ」
黒猫の肯定に、今までの不安が霧散していくのを感じた。
ボス候補云々は置いといて、とりあえず命の危険がないという事実は、俺の心を許すのに充分だった。
そうして許したのが間違いだった。
気分を良くした俺は、最後にとんでもないことを訊いてしまったのだ。
「そういえば黒猫ちゃん、なんでそんなにアゲハのことに詳しいの? その、“掟”とかいうので情報規制されているんだろ? 本人から聞いたとか?」
ただの興味本意でそう訊いた瞬間、これ以上なく後悔した。
黒猫が『待ってました』と言わんばかりに笑みを深くした。
「そんなの簡単だよ」
彼女の回答は、実にシンプルなものだった。
シンプル故に彼女の業の本質をより深く突いていたと思う。
とにかく俺はその答えを聞いた時、忘れていた恐怖を確かに思い出したのだ。
「ボクが何でも知っているからだよ」
一通り話し終えて、黒猫はふうっと一息吐いた。
「ま、そんなところかなぁ? 他にどーしても訊きたいこととかある?」
「えっと……、アゲハってオレの護衛なんだよね」
「……うん。まあ、そうだねぇ」
どこか含みのある言い方だ。
もしかしたら、次に俺の言うことを読み取ったからかもしれない。
「それってやっぱり……ボス候補になったら命を狙われるから、だよね」
これが、アゲハや黒猫に訊きたかったことでもある。
一昨日写真で見せられた、かつてのボス候補の変わり果てた姿。
あれはもしかしたら、未来の俺かもしれないのだ。
次に銃で撃たれ海に沈められ骨にされるのは、俺かもしれないのだ。
その上、俺だけじゃなく、もしも母さんや学校の友達に危害が及ぶかもしれないと思うとぞっとする。
そんな危険な目に遭うくらいなら、俺は地位も名誉もいらない。
ただ平和で平凡な人生が送れればそれでいい。
「半分イエスで、半分ノーかなぁ」
「え?」
「ボス候補になれば君が命を狙われる可能性があるのは間違いない。でも十代目が日本にいると知っているのは、ボクを除けば、ボンゴレファミリーの上層部だけなんだよぉ。だから君がマフィア関連で命を落とす可能性は、君が明日交通事故で死ぬ可能性よりずっと低い。特別心を悩ませる必要はないよーん」
「じゃあアゲハは……」
「念には念を入れってことじゃない? あとは今のうちにアゲハちゃんと仲良くなってもらおうって思惑もあるかな。君は将来アゲハちゃんの上司になるわけだしねぇ」
「そう……なのか」
「そうだねぇ」
黒猫の肯定に、今までの不安が霧散していくのを感じた。
ボス候補云々は置いといて、とりあえず命の危険がないという事実は、俺の心を許すのに充分だった。
そうして許したのが間違いだった。
気分を良くした俺は、最後にとんでもないことを訊いてしまったのだ。
「そういえば黒猫ちゃん、なんでそんなにアゲハのことに詳しいの? その、“掟”とかいうので情報規制されているんだろ? 本人から聞いたとか?」
ただの興味本意でそう訊いた瞬間、これ以上なく後悔した。
黒猫が『待ってました』と言わんばかりに笑みを深くした。
「そんなの簡単だよ」
彼女の回答は、実にシンプルなものだった。
シンプル故に彼女の業の本質をより深く突いていたと思う。
とにかく俺はその答えを聞いた時、忘れていた恐怖を確かに思い出したのだ。
「ボクが何でも知っているからだよ」