標的18 貴方と私の決定的な差異
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雲雀が大人しく引き上げたのを確認して振り返ると、モレッティが綱吉の背後に立っていた。
「いやー死ぬかと思った。危ない危ない」
死体だと思っていた男がいきなり動き出し、平然と喋っているので、綱吉達は上を下への大騒ぎになった。
芝居が終わったことが気になって、モレッティに訊いてみた。
「もう演技はいいの?」
「はい。それに、先ほど姫様が吹き飛ばした家具が頭スレスレを掠めまして」
「あらそう」
「え……アゲハ知り合い?」
私とモレッティが和やかに会話するのを見て、綱吉は叫ぶのを止めてそう尋ねた。
すると、モレッティが綱吉の前に進み出た。
「初めまして十代目」
「ゾンビー!!!」
モレッティは礼儀を重んじた対応のつもりだろうが、口から血糊を吐きながら近づいたので、一同から再び悲鳴が上がった。
収集がつかなくなりそうだったところで、リボーンがモレッティのことを紹介し、さらに死体もドロボー騒ぎもすべて芝居だったことを打ち明けた。
「せっかく日本に遊びに来たので、十代目に挨拶がてら“アッディーオ ”を見てもらおうと思いまして」
「他に見せ方あるでしょー!!!」
私も昨日リボーンから計画の全容を聞いた時、同じことを感じたのを思い出した。
綱吉はひとしきり突っ込んだ後、追及の矛先を私に向けた。
「もしかして、アゲハも全部知ってたのか?」
「芝居のことは知っていたわ」
「んなっ!!」
「そもそも、私が護衛している場所に、ただの泥棒が易々と侵入できるわけないじゃない」
ツナがやる前に私が殺すわ、と言い捨てた。
それを受けて、彼の中でさまざまな感情や反論が錯綜した結果、最終的に起こる気力がなくなったようだ。
良かった、と弱々しく呟くと、床に座り込んだのだった。
綱吉の隣で、ハルも腰を抜かしている――今回は彼女が一番理不尽に巻き込まれたようなものである(屋形船のことも含めて)。
再びモレッティに目を向けてみると、彼は獄寺と山本に囲まれて笑っていた。
獄寺は呆れ口調で「まったくリボーンさんは」と言いつつも、表情は笑顔である。
山本に至っては何のツボにハマったのか、モレッティを指差して爆笑している。
その様子を見て、なんとなく思った。
――絢芽もこうしてやれば良かったのだろうか、と。
ただ単に紹介するのではなく、居場所を作るだけではなく、こんな風に輪の中に入れてやれば良かったのだろうか、と。
彼女が転入して一ヶ月しか経ってないとは言え、未だに綱吉達と交流が少ない現状を鑑みると、どうにもリボーンと私の差を自覚しなければいけない。
“家庭教師”という人を教え導く肩書きを持つリボーンと、“最終兵器”という破壊と殲滅に特化した私では、そもそも比較にすらならないのかもしれないが。
ただ、それだけではないと思う。
今回の件もまた、私の“無関心”が一因であるように思うのだ。
例えば、リボーンとは随分付き合いが長いので、彼が生徒を受け持っているところを見るのは今回が初めてではない。
しかし、彼が歴代の生徒達に何を教えてきたのか、どう導こうとしていたのか、そういった家庭教師の本質に興味を持ったことはなかった。
過去のリボーンの言動を分析し、その意味を考察していたならば、彼女のことも早く良策を思いついていたのではないだろうか。
一度自覚してみると、私は本当に多くのものを取りこぼしていたと気づく。
つくづく、もう少し周りに目を向けるべきだった。
その反省が活かされるかどうか、今までの時間の浪費に取り返しがつくかどうかは、今後の私の行動にかかっている。
「いやー死ぬかと思った。危ない危ない」
死体だと思っていた男がいきなり動き出し、平然と喋っているので、綱吉達は上を下への大騒ぎになった。
芝居が終わったことが気になって、モレッティに訊いてみた。
「もう演技はいいの?」
「はい。それに、先ほど姫様が吹き飛ばした家具が頭スレスレを掠めまして」
「あらそう」
「え……アゲハ知り合い?」
私とモレッティが和やかに会話するのを見て、綱吉は叫ぶのを止めてそう尋ねた。
すると、モレッティが綱吉の前に進み出た。
「初めまして十代目」
「ゾンビー!!!」
モレッティは礼儀を重んじた対応のつもりだろうが、口から血糊を吐きながら近づいたので、一同から再び悲鳴が上がった。
収集がつかなくなりそうだったところで、リボーンがモレッティのことを紹介し、さらに死体もドロボー騒ぎもすべて芝居だったことを打ち明けた。
「せっかく日本に遊びに来たので、十代目に挨拶がてら“
「他に見せ方あるでしょー!!!」
私も昨日リボーンから計画の全容を聞いた時、同じことを感じたのを思い出した。
綱吉はひとしきり突っ込んだ後、追及の矛先を私に向けた。
「もしかして、アゲハも全部知ってたのか?」
「芝居のことは知っていたわ」
「んなっ!!」
「そもそも、私が護衛している場所に、ただの泥棒が易々と侵入できるわけないじゃない」
ツナがやる前に私が殺すわ、と言い捨てた。
それを受けて、彼の中でさまざまな感情や反論が錯綜した結果、最終的に起こる気力がなくなったようだ。
良かった、と弱々しく呟くと、床に座り込んだのだった。
綱吉の隣で、ハルも腰を抜かしている――今回は彼女が一番理不尽に巻き込まれたようなものである(屋形船のことも含めて)。
再びモレッティに目を向けてみると、彼は獄寺と山本に囲まれて笑っていた。
獄寺は呆れ口調で「まったくリボーンさんは」と言いつつも、表情は笑顔である。
山本に至っては何のツボにハマったのか、モレッティを指差して爆笑している。
その様子を見て、なんとなく思った。
――絢芽もこうしてやれば良かったのだろうか、と。
ただ単に紹介するのではなく、居場所を作るだけではなく、こんな風に輪の中に入れてやれば良かったのだろうか、と。
彼女が転入して一ヶ月しか経ってないとは言え、未だに綱吉達と交流が少ない現状を鑑みると、どうにもリボーンと私の差を自覚しなければいけない。
“家庭教師”という人を教え導く肩書きを持つリボーンと、“最終兵器”という破壊と殲滅に特化した私では、そもそも比較にすらならないのかもしれないが。
ただ、それだけではないと思う。
今回の件もまた、私の“無関心”が一因であるように思うのだ。
例えば、リボーンとは随分付き合いが長いので、彼が生徒を受け持っているところを見るのは今回が初めてではない。
しかし、彼が歴代の生徒達に何を教えてきたのか、どう導こうとしていたのか、そういった家庭教師の本質に興味を持ったことはなかった。
過去のリボーンの言動を分析し、その意味を考察していたならば、彼女のことも早く良策を思いついていたのではないだろうか。
一度自覚してみると、私は本当に多くのものを取りこぼしていたと気づく。
つくづく、もう少し周りに目を向けるべきだった。
その反省が活かされるかどうか、今までの時間の浪費に取り返しがつくかどうかは、今後の私の行動にかかっている。