標的18 貴方と私の決定的な差異
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ひとまずリボーン考案のストーリーを二人にも共有した。
馬鹿馬鹿しいと思いながら説明したのが伝わってしまったのか、山本と獄寺は半信半疑といった様子だ。
「落ち着けよ。まだツナがやったって決まったわけじゃないだろ?」
「そーっスよ。大体こいつ本当に死んでんスか?」
「だ……だって……血が……」
死体役を務める諜報員――モレッティのことは、これまで共に仕事をする機会がなかったので詳しくは知らない。
ただし、彼の特技“アッディーオ ”については聞き及んでいる。
自分の意思で心臓を止め仮死状態になることができる技で、傍目では本物の死体と遜色ないように見える。
完全に死んでいると思い込んでいる綱吉を横目に、獄寺はベッドに近寄り、死体の傍にしゃがみ込んだ。
そして何をするかと思えば、モレッティの顔に煙草の火を近づけたのだった。
「おい。起きねーと根性焼きいれっぞ」
獄寺の暴挙に、綱吉が悲鳴を上げた。
まさかモレッティもそんな風に生存確認されることは考慮していなかったのだろう。
火の熱さで顔の筋肉がぴくりと動いたために、死体がまだ生きていると発覚してしまった。
救急車を呼ぼうという騒ぎになったところで、リボーンが口を挟んだ。
「その必要はないぞ。医者を呼んどいた」
どうやら死体が偽物であると見破られることは想定の範囲内だったようだ。
すぐに対応策を繰り出す手腕はさすがだが(ただのドッキリに全力すぎる)、リボーンの人脈で医者と聞くと一人しか思いつかない。
予想通り、廊下から現れたのはDr.シャマルだった。
ただし、寝転んだ状態のままリボーンに襟を掴まれて部屋に引きずり出された彼は、赤ら顔で片手に酒瓶を抱えている。
医者としての権威は見る影もない姿だ。
まあ、こんな茶番に素面で付き合わせる方が申し訳ないので、酔いどれているくらいがちょうどいいのかもしれない。
するとシャマルを見た獄寺が、驚きの声を上げた。
知り合いかと問う山本に対し、獄寺が渋い顔で話し出した。
「うちの城の専属医の一人だった奴で、会うたびに違う女連れてて、妹だっつーから、ずっと兄弟が62人いると思ってた」
エピソードが碌でもない。
この言い方だと、ビアンキだけでなく獄寺にとってもシャマルの印象は良くなさそうだ。
シャマルはようやく室内に目を向けると、ふらふらと立ち上がった。
「おっ、アゲハちゃん。今日も美人だねぇ」
「アゲハに近づくなスケコマシ!」
何故か私よりも先に獄寺が反応し、私を庇うように前に進み出た。
「よぉ、隼人じゃん」
「話しかけんじゃねー! 女たらしがうつる! スケコマシ!!」
「なんでーつれねーの」
獄寺に邪険にされても、シャマルは特に気にしていないようだ。
綱吉は痺れを切らして叫んだ。
「Dr.シャマル! 早く患者を診て下さいよ!!」
「そーだったそーだった。死にかけの奴がいるんだってな」
この茶番について何処まで話が通っているのかは知らないが、シャマルならば適当に場を掻き乱してこの状況を有耶無耶にしてくれるだろう。
シャマルの信条は『男は診ない』――あの死体が偽物であると彼の口から公表されることは絶対にない。
案の定シャマルは、どれどれ、ともっともらしいことを言いながら、自然な動作でハルの胸部に触れたのだった。
だが、私がハルを保護する前に、ハルの拳がシャマルの顔面に叩き込まれた。
女性に吹っ飛ばされる恩人の姿を、この短期間で二度も目撃してしまった。
彼は殺人ではなく、いつか公然わいせつで捕まるのではないだろうか。
「この元気なら大丈夫だ。おまけにカワイイときてる」
「誰診てるんですか!!! 患者はこの人です!」
綱吉がモレッティを指差すと、シャマルはあっさりと突き放した。
「何度言ったら分かるんだ? オレは男は診ねーって」
「そーいえばそーだった」
「知ってたよなあ!!」
わざとらしくリボーンが嘯くと、綱吉は絶叫した。
当然、承知した上での人選だ。
「てか本当にそいつ生きてんのか? 瞳孔開いて息止まって心臓止まってりゃ死んだぜ」
シャマルの言葉に、ハルと山本と獄寺は早速確認に動いた。
「ドーコー開いてます」
「息も止まってる……」
「心臓……止まってる」
一転、部屋に気まずい沈黙が流れた。
「オレがふざけてる間に仏さんになっちまったのかもなー。仏さんにゃ用がねーや。じゃっ」
蘇生を求められる前に、シャマルはそう言い残して速やかに去っていった。
馬鹿馬鹿しいと思いながら説明したのが伝わってしまったのか、山本と獄寺は半信半疑といった様子だ。
「落ち着けよ。まだツナがやったって決まったわけじゃないだろ?」
「そーっスよ。大体こいつ本当に死んでんスか?」
「だ……だって……血が……」
死体役を務める諜報員――モレッティのことは、これまで共に仕事をする機会がなかったので詳しくは知らない。
ただし、彼の特技“
自分の意思で心臓を止め仮死状態になることができる技で、傍目では本物の死体と遜色ないように見える。
完全に死んでいると思い込んでいる綱吉を横目に、獄寺はベッドに近寄り、死体の傍にしゃがみ込んだ。
そして何をするかと思えば、モレッティの顔に煙草の火を近づけたのだった。
「おい。起きねーと根性焼きいれっぞ」
獄寺の暴挙に、綱吉が悲鳴を上げた。
まさかモレッティもそんな風に生存確認されることは考慮していなかったのだろう。
火の熱さで顔の筋肉がぴくりと動いたために、死体がまだ生きていると発覚してしまった。
救急車を呼ぼうという騒ぎになったところで、リボーンが口を挟んだ。
「その必要はないぞ。医者を呼んどいた」
どうやら死体が偽物であると見破られることは想定の範囲内だったようだ。
すぐに対応策を繰り出す手腕はさすがだが(ただのドッキリに全力すぎる)、リボーンの人脈で医者と聞くと一人しか思いつかない。
予想通り、廊下から現れたのはDr.シャマルだった。
ただし、寝転んだ状態のままリボーンに襟を掴まれて部屋に引きずり出された彼は、赤ら顔で片手に酒瓶を抱えている。
医者としての権威は見る影もない姿だ。
まあ、こんな茶番に素面で付き合わせる方が申し訳ないので、酔いどれているくらいがちょうどいいのかもしれない。
するとシャマルを見た獄寺が、驚きの声を上げた。
知り合いかと問う山本に対し、獄寺が渋い顔で話し出した。
「うちの城の専属医の一人だった奴で、会うたびに違う女連れてて、妹だっつーから、ずっと兄弟が62人いると思ってた」
エピソードが碌でもない。
この言い方だと、ビアンキだけでなく獄寺にとってもシャマルの印象は良くなさそうだ。
シャマルはようやく室内に目を向けると、ふらふらと立ち上がった。
「おっ、アゲハちゃん。今日も美人だねぇ」
「アゲハに近づくなスケコマシ!」
何故か私よりも先に獄寺が反応し、私を庇うように前に進み出た。
「よぉ、隼人じゃん」
「話しかけんじゃねー! 女たらしがうつる! スケコマシ!!」
「なんでーつれねーの」
獄寺に邪険にされても、シャマルは特に気にしていないようだ。
綱吉は痺れを切らして叫んだ。
「Dr.シャマル! 早く患者を診て下さいよ!!」
「そーだったそーだった。死にかけの奴がいるんだってな」
この茶番について何処まで話が通っているのかは知らないが、シャマルならば適当に場を掻き乱してこの状況を有耶無耶にしてくれるだろう。
シャマルの信条は『男は診ない』――あの死体が偽物であると彼の口から公表されることは絶対にない。
案の定シャマルは、どれどれ、ともっともらしいことを言いながら、自然な動作でハルの胸部に触れたのだった。
だが、私がハルを保護する前に、ハルの拳がシャマルの顔面に叩き込まれた。
女性に吹っ飛ばされる恩人の姿を、この短期間で二度も目撃してしまった。
彼は殺人ではなく、いつか公然わいせつで捕まるのではないだろうか。
「この元気なら大丈夫だ。おまけにカワイイときてる」
「誰診てるんですか!!! 患者はこの人です!」
綱吉がモレッティを指差すと、シャマルはあっさりと突き放した。
「何度言ったら分かるんだ? オレは男は診ねーって」
「そーいえばそーだった」
「知ってたよなあ!!」
わざとらしくリボーンが嘯くと、綱吉は絶叫した。
当然、承知した上での人選だ。
「てか本当にそいつ生きてんのか? 瞳孔開いて息止まって心臓止まってりゃ死んだぜ」
シャマルの言葉に、ハルと山本と獄寺は早速確認に動いた。
「ドーコー開いてます」
「息も止まってる……」
「心臓……止まってる」
一転、部屋に気まずい沈黙が流れた。
「オレがふざけてる間に仏さんになっちまったのかもなー。仏さんにゃ用がねーや。じゃっ」
蘇生を求められる前に、シャマルはそう言い残して速やかに去っていった。